表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/237

96話 謎の壺

「お腹が空いた~、お腹が空いた~。

 お腹と背中がくっついちゃう、あら大変♪

 供物を捧げよ捧げよ、私は空腹だぁ。

 お肉にお野菜、いっぱいよこせ~。

 お魚あると完璧だ~。

 締めはスイーツ、パーフェクトぉ♪」


 作詞・作曲、カナデ。


 ……なんて、呑気な歌を歌いつつ、カナデがキッチンに現れた。

 その目的は冷蔵庫を漁ること。


 時刻は朝。

 ごはんを食べたばかりなのだけど、しかし、小腹が空いてしまった。


 なら仕方ない。

 つまみ食いをしても許されるよね。


 そんな言い訳を自分にしつつ、カナデは食料保管庫を開けて……

 その尻尾を『?』マークにする。


「なに、これ?」


 保管庫の中に見たことのない壺が置かれていた。

 しっかりと蓋がされていて中が見えない。


「これは……もしかして、なにか漬けている!?」


 じゅるりとよだれが垂れた。

 カナデはるんるん気分で壺を取り出してテーブルに運ぶ。


「さーて、なにが入っているのかな?」

「あっ。こら、カナデ!」

「うわっ、みんな!?」

「またつまみ食いなのか?」

「ダメですよ、そういうのは」

「めっ」

「ごめんなー、朝食足りなかった?」


 物音が気になったらしく、タニア達がやってきた。


 現行犯。

 言い逃れはできない。


 がくりとうなだれるカナデ。

 その両手が拘束されて牢に……


 なんていうことはなくて、カナデは開き直ることにした。


「生き物は食べていかないとダメ。だから、私のつまみ食いも仕方ないこと。うん、無罪!」

「有罪よ」

「にゃん!?」


 タニアにげんこつをもらってしまう。

 スパルタ教育だ。

 ただ、これくらいしないとカナデは反省しないので仕方ないとも言えた。


「ところで、この壺はなに?」

「あれ? タニアも知らないの?」

「知らないわよ、こんなもの。初めて見るけど……ティナ?」

「いや、ウチも知らんなあ」

「ルナは?」

「我も知らぬ」


 キッチンの支配者であるティナとルナが知らない。

 なら、いったいなんだろう?


 皆、小首を傾げて、それから謎の壺に興味を持つ。


「私、とっておきの漬物が入っているんじゃないかな、って思うよ?」

「まあ、壺といえば漬物だけど……」

「ウチ、そんなもの仕込んでないで?」

「ティナに同じく、なのだ」

「では、外で買ってきたものでしょうか?」

「わたし……知ら、ない」

「「「うーん?」」」


 謎が深まる。

 この壺はいったいなんなのだろう?


 同時に興味が湧いてきた。

 もしかしたら、極上の漬物が仕込まれているかもしれない。

 もしかしたら、とんでもないお宝が隠されているかもしれない。


「……ちょっと開けてみる?」

「えぇー、ダメだよぉ、そんなことー」

「めっちゃ笑顔だな」

「しかし、危険物という可能性も捨てきれません。それを確認するためにも、中を確認する必要があるのではないでしょうか?」

「姉は言葉遊びがうまいな」

「そ、そのようなことはありません。あくまでも心配だから、です」

「……気になる」

「なるなー」


 じっと壺を見つめる一同。

 この時、皆の気持ちが一つになった。


「「「せーの!」」」


 いっせいに手を伸ばして……




――――――――――




「ふぅ」


 冒険者ギルドからの帰り道、自然と吐息がこぼれた。


 少し前に盗賊と戦ったけど、その時に呪いのアイテムを押収した。

 すぐにギルドに引き取ってもらいたかったけど、あいにく、担当のナタリーさんが不在。

 家で保管することになった。


 でも、それも今日で終わり。

 ナタリーさんが帰ってきたので、さっさと壺を渡してしまおう。

 どんな効果があるかわからないけど、呪いのアイテムなんて気味が悪いからな。


「ただい……ま……?」


 家に帰り……そして、時が止まる。


 いや、比喩だ。

 でも、それくらい驚いて思考が停止していた。


「わーいわーい、つかまえてごらん!」

「むー、にげないでよ!」

「ねえねえ、ごほん、よんで?」

「しかたないですね。いっしょによみましょう」

「ふぇ……うぇえええええ」

「よちよち、だっこしたろかー?」


 カナデとタニアが家の中で鬼ごっこをしていた。

 ルナとソラが仲良く本を読んでいる。

 ニーナが泣いて、ティナがあやしている。


 ただし。

 ……みんな、六歳くらいに小さくなっていた。


「えええええぇ!?」

新シリーズ(?)です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[良い点] ああ・・・こんなの人によっては大好きなものになるではないか・・。 ニーナだけあんまり変わってないような気が・・。
[一言] 触っちゃダメ!って張り紙を貼っておけば良かったですね〜! 食料保管庫に入れていたし、 これは完全にレインが悪い
[一言] アルさん、あの謎の壺で6歳まで若返ればいいのだw まあ実年齢は変えられないがw お腹痛いw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ