表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/237

85話 シチュー

「ふぅ……今日は寒いですわね」

「いらっしゃいませ。こちらをどうぞ」

「あら、ありがとう」


 外は雪が降っていたため、イリスはいくらかの雪を被っていた。

 チトセから渡されたタオルで髪を拭う。


「ありがとうございます」

「どういたしまして!」

「ついでに聞きたいのですが、今日みたいな日にピッタリな料理はなんでしょう?」

「そうですね……シチューなんていかがでしょう?」

「『しつー』?」

「じっくりコトコト煮込んだスープですよ。温かくてとても美味しいです」

「なるほど……では、それをくださいな」

「承りましたー!」


 チトセは笑顔で厨房へ移動した。

 その後ろ姿を見送りつつ、イリスはわくわくする。


 『しつー』というものは温かいスープらしい。

 雪が降るような日にはぴったりの料理だ。


 いったいどんな料理なのだろう?

 スープというからには、なにかを煮込むのだろうか?

 じっくりコトコト、という言葉が気になる。


「あぁ、楽しみですわ……おっと、よだれが」


 ぽんこつ天使はどこかの猫耳少女と同じレベルになりつつあった。


「おまたせしましたー、シチューです」


 しばらくしてチトセが戻ってきた。


「あら♪」


 差し出された皿には白いスープが入っていた。

 ほかほかと湯気を立てているのを見ていると、それだけで温まりそうだ。


 スプーンで軽くかき混ぜてみると、ふんわりと良い匂いが漂う。


「じゃがいも、にんじん、お肉、ブロッコリー、玉ねぎ……ふむ。野菜が多めですわね?」


 野菜が嫌いというわけではないが、どちらかというと肉の方が好きだ。

 少し残念に思いつつ、スープを一口。


「あらあらあら♪」


 美味しい。

 思わず笑顔になってしまうような味だ。


 とろみのある白いスープは、しっかりと野菜の旨味が溶け込んでいた。

 なるほど。

 たくさんの野菜を使っているのは、その旨味を少しも逃すことなく、スープに全て伝えるためのものなのだろう。


 野菜の甘味、旨味。

 それらがしっかりとスープに溶け込んでいた。


 逆に、野菜もしっかりとスープの旨味を吸っていた。

 柔らかく煮込まれたにんじんは甘い。

 ほろほろと崩れてしまいそうなじゃがいも。

 スープがたっぷりと絡んだブロッコリー。

 それらを食べると、口の中が一気に幸せになる。


 それと肉。

 これは豚肉だろう。

 しっかりと火を入れられているため歯ごたえがある。

 しかし、それは旨味が閉じ込められているという証拠だ。

 噛む度に深い味が伝わってきて、舌の上に肉の甘さが広がる。


「このようなスープなら、わたくし、野菜が好きになってしまいそうですわ」


 それほどまでに美味しい。


 ただ、なによりも注目するところは……


「はぁ……温まりますわ」


 『しつー』なるスープはとても熱い。

 ぐつぐつと煮立っているわけではないが、とろみがあるため、中の熱が逃げにくいのだろう。

 ふーふーと息を吹かないと食べることができない。


 ただ、それがいい。


 熱いスープはしっかりと旨味を表に出していた。

 その上で体を温めてくれて、芯までぽかぽかにしてくれる。


「これは、本当に素敵な料理ですわね♪」


 手が止まらない。

 はふはふしつつ、イリスは一滴も残さずに全て食べた。


「ふぅ……ごちそうさまでした」


 今日も美味しいものを食べることができた。

 そのことに感謝をして、イリスは両手を合わせるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[良い点] 突撃、隣のイリスさん! さて、今回はシチューでございますが、イリスさんのフニャけた顔を見に行こうかと思いまーす!
[一言] ポンコツ天族は美味しい食事をつくってくれた人類に復讐しようとしているようです。この後きっとイリスのポンコツぷりが存分に出てくるだろうn… イリス「あらやだ、手が滑りましたわ(^^)」(嘆きの…
[一言] そろそろ麺類くるかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ