64話 慰安旅行・その6
たくさん海で遊んで……
太陽が真上に昇ったところで、空腹を覚えた。
くぅ~。
「あぅ……」
かわいい音が響いたと思うと、ニーナが恥ずかしそうにお腹を押さえた。
彼女もお腹が空いたみたいだ。
「あー、ウチ、めっちゃ腹空いたなー。ぺこぺこや。なあなあ、レインの旦那。そろそろごはんにせん?」
「そうだな」
ちょっとわざとらしいけど、ティナの気遣いに感謝だ。
ニーナもほっとした様子で、賛成と頷いている。
「カナデ達は……」
「ごはんの時間だね!?」
「うわっ」
どこからともなく、カナデとタニア。
それと、ソラとルナが現れた。
「あたし、ここでしか食べられないものがいいわ」
「うみのいえ、という特殊なレストランがあるらしいな」
「人間の海の食事、興味があります」
みんな、目をキラキラと輝かせていた。
たくさん遊んだから、すっかり空腹になってしまったのだろう。
「えっと……」
周囲を見ると、浜辺に沿っていくつもの店が並んでいた。
本格的なレストランから屋台まで、種類は様々だ。
「じゃあ、あの店にしてみるか」
『海の家・海底さんぽ』という看板を掲げる店を指さした。
良い匂いが漂ってきて、それと、ほどほどにお客さんも入っている。
たぶん、おいしいものが食べられると思う。
「賛成ー!」
「我が一番なのだ!」
「あっ、こら!」
ダダダ! と駆けていくカナデ達。
そんなに急がなくても、店は逃げないのに。
苦笑しつつ、俺達も後を追いかけた。
そうやって店に入り、隅の席に案内された。
草を編み込んだ床に直接座り、丸いテーブルをみんなで囲むスタイルだ。
「らーめん、やきそば、たこやき……にゃん?」
「よくわからないメニューばかりね」
「らーめんとは、どのような食べ物なのでしょうか?」
「とりあえず、一通り頼んでみようか」
気になるメニューを全部頼んでみた。
十人前を超える量だけど……
でも、みんなは健啖家だから問題ないだろう。
「良い匂いがするねー。私の尻尾も反応しているよ」
「カナデの尻尾は、料理探知機なのかしら……?」
「あれ? タニアの尻尾は反応していないね、故障?」
「あたしを仲間にしないでくれる!?」
そんなやりとりをしていると、料理が運ばれてきた。
熱いスープが注がれた麺料理。
黒いソースが絡まっている麺料理。
ふわっと丸い不思議な料理。
見たことのない料理がたくさんだ。
でも、良い匂いがして、どれもおいしそう。
「「「いただきます」」」
俺は、黒いソースが使われた麺料理を食べてみることにした。
確か、やきそば、だったっけ?
「……うん、うまい!」
甘味と酸味のあるソースが麺にしっかりと絡まっていて。
野菜と肉と一緒に焼くことで、香ばしい匂いが全体に広がっている。
一口で止まらなくて、次を次をと求めてしまう。
「ふー……ふー……じゅる」
ニーナは、熱いスープが注がれた麺料理……らーめんを食べていた。
何度か息をかけて冷まして、音を立てて麺をすする。
「……ふぁ」
にっこり笑顔。
三つの尻尾もぴょこぴょこ動いている。
どうやら、気に入ったみたいだ。
「じゃあ、私は、このたこやきを食べようかな!」
カナデは、小さなボール状の食べ物に手を伸ばした。
箸で摘み、笑顔で口に運んで……
「にゃーーーっ!?!?!?」
悲鳴をあげた。
「か、カナデ!?」
「ちょっと、どうしたのよ!?」
「あっ、あふ!? ふぁ、はふはふはふっ、あふううううう!?」
涙目になって、口をはふはふとさせるカナデ。
どうやら、たこやきはすごく熱い食べ物らしい。
それを冷ますことなく、まるごと口に放り込んだから、大惨事になっているみたいだ。
猫は熱いものが苦手らしいから……
たぶん、カナデも猫舌なんだろう。
だって……猫だし。
「にゃあああ……し、死ぬかと思ったぁ」
「大丈夫か?」
「なんとか……」
カナデはガクガクと震えつつ、皿の上に並んだたこやきを見る。
「たこやき……恐ろしい食べ物!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
「面白い」「続きが気になる」と思っていただけたのなら、
【ブックマーク】や【評価】をしていただけると、すごく嬉しいです。
評価はページの下の「☆☆☆☆☆」から行うことができます。
反響をいただけると、「がんばろう」「もっと書いてみよう」と
モチベーションが上がるので、もしもよろしければお願いいたします。
次話も読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします!




