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48話 偽物参上!・その5

 俺の偽物が現れた。

 偽物は、俺のことを兄者と呼んで慕いたいらしい。


 うん。

 まってくもって意味がわからない。


「察しているかもしれませんが、私の名前はレイン・シュラウドではありません」

「「「知っていたよ」」」


 この場にいるみんなの声がハモる。


「本当の名前は、ロック・ハッケージ。しがない冒険者です」

「冒険者だったのか」

「なぜ私がレイン殿の名前を騙り、悪を成敗していたのか……その理由をお話いたしましょう」


 ロック曰く……


 ロックは別の街で活動をしてて、平穏な日々を過ごしていた。

 しかし、平穏すぎるせいで心が満たされることはない。

 どこか空虚な時間が続いていたという。


 そんなある日、俺達がエドガーを倒した話を吟遊詩人から聞いたらしい。

 話が盛られていたせいか、ロックは俺に強い憧れを抱いて、この人の仲間になるしかない! と思い、ホライズンにやってきた。

 ただ、その頃の俺達は家を留守にしていたため、会うことは叶わない。


 そこでロックは、いつか出会えることを夢見つつ、その時のために己を鍛えることにしたらしい。

 俺の名前を騙り悪人を退治していたのは、一種の修行だとか。


 俺の名前を使うことで、さらに強くなれるような気がして……

 悪人を退治することで、少しでも俺に近づこうとした……と。


「……以上です」

「な、なるほど」


 俺、そんなに憧れるような存在じゃないんだけど……

 話を聞いていて、ものすごく恥ずかしかった。


「そして今、ようやくレイン殿と……いえ、兄者と出会うことができたのです! どうか、私を弟子にしてください!!!」

「それはちょっと……」

「っ!?!?!?」


 反射的に即答してしまう。

 ロックは大きな衝撃を受けた様子で、ピシリと固まってしまう。


「ねえねえ」


 成り行きを見守っていたタニアが口を開く。


「あたしに憧れたりしないの?」

「はっはっは、それはありませんな」

「え?」

「無差別破壊のデストロイヤー、慈悲を欠片も持たない破壊神、一歩間違えたら邪神に間違えてしまう最強種ナンバーワン……そのような異名を持つタニア殿に憧れるのは、ちょっとぐほぁ!?」


 ロックが氷の目をしたタニアに殴り飛ばされた。


「ねえ、なにその異名は? まるであたしが悪魔みたいじゃない。ねえ、どういうこと?」

「わ、私が言ったのではなくて、吟遊詩人がそのように歌って……」

「その吟遊詩人の名前と居場所を教えなさい。あと、性別と年齢。趣味趣向。苦手なものと恐怖するものと泣くほど嫌なもの。そうそう、家族構成と恋人の有無。宝物と思い出などもあれば、それも追加ね」

「そ、それを聞いてどうするので……?」

「ふふ、決まっているでしょう」


 タニアは極上の笑みを浮かべて言う。


「全部叩き潰すのよ」

「ひぃ!?」


 物騒すぎる答えを聞いて、ロックが怯えてしまう。


「ふ、ふふふ、うふふふ……あたしを破壊神のように扱う吟遊詩人、許すまじ!!!」


 そういうことを口走るから、破壊神のように扱われるのでは……?

 そんなことを思ったけど、言葉にはしないでおいた。


「ねえねえ、私は? 私はなんか言われていないの?」


 興味を持ったらしく、続けてカナデが問いかけた。


「カナデ殿ですか? ええ、もちろんありますよ」

「おー、どんな感じ? ……もしかして、タニアと似たような感じ?」

「いいえ、そのようなことはありません。カナデ殿は……」


 いつでもどんな時でも食べ物のことしか考えていない、腹ペコ空腹猫。

 魚を見ると理性を失い、バーサーカーと化してしまうフィッシュキャットガール。

 お気楽極楽能天気娘。


「……などなど、数々の逸話がぐはぁ!?」


 再び殴り飛ばされてしまうロック。


「どういうことかな? どういうことかな?」

「い、いえ、私が言ったわけではなくて、こちらも吟遊詩人が……」

「うにゃー……ねじ切る」


 なにを!?


「なあなあ、うちのことは?」


 懲りるということを知らないのか、今度はティナが問いかけた。

 しかし、ロックは首を横に振る。


「残念ながら……ティナ殿は、領主討伐に参加していませんでしたから」

「そっかー、残念やな。うちも、二人みたいなおもしろ称号ほしかったのに」

「「本当に? その場のノリで言ってない?」」

「あははー」


 カナデとタニアにジト目を向けられて、ティナはごまかすような笑い声をこぼした。


「ただ、ソラ殿とルナ殿の話ならば」

「へえ、それはどんなものなんだ?」

「その姉妹、神に愛されし容姿を持ち、見る者の心を虜とする。知的で月のような姉。明るく太陽のような妹。その双子に、神はいくつもの贈り物を授けた」


 ソラとルナは絶賛だった。

 ……だったのだけど。


「しかし、ああ、哀しいかな。神は残酷なことをした。一つだけ姉妹に与えなかったものがある。それは、二人の絶壁のむ……」

「「ドラグーンハウリング!!」」

「ぎゃあああっ!?」


 どこからともなく飛んできた攻撃魔法で、三度、ロックが吹き飛んだ。


 えっと……うん。

 吟遊詩人から伝え聞いたとしても、今のはロックが悪いと思うぞ?

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだ、この悪口コンクールは。 最後のはまあ、分かってましたよ。 だってさあコメントのみんなも思ってることだし・・・。 物語の人物もそう思ってたんだなあ。
[気になる点] その吟遊詩人、色々とディスってますね〜! ニーナの異名は無いのかな?
[一言] 吟遊詩人言いたい放題だろw お腹痛いw あw もしかして吟遊詩人って一部の読者の事?w カナデやタニアやソラやルナをおちょくるのが少なくないしw カナデ「ねえ、あなた例の吟遊詩人?^^」 …
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