45話 偽物参上!・その2
「「「レインの偽物ぉ!?」」」
タニア、ソラ、ルナ、ティナが大きな声で驚いて……
「おー……?」
ニーナが淡白な反応を示した。
よくわかっていないのかもしれない。
「そんなわけで、俺を名乗る謎のヒーローとコンタクトを取ることになったんだけど……」
「む? 捕まえないのか?」
「偽物なら焼いてもいいわよね」
ルナとタニアの思考が物騒すぎる。
ニーナの教育に悪いかもしれないから、そろそろ矯正した方がいいのかな……?
「偽物だけど、でも、悪人っていうわけじゃないんだ。困っている人を助けているだけで……まあ、真意がどこにあるかわからないから、断言はできないけど」
「そうですね。勝手に正義の味方をされても困りますし、せめて身元を明らかにしないといけません」
「じゃないと、やりたい放題だよねー」
ソラとカナデは問題点を察してくれたらしく、困り顔を作る。
「で、俺の偽物っていうことだから、まずは俺達が対処することになったんだ」
「レインの偽物……どんな顔をしているのかしら?」
「にゃー、レインそっくり……とか?」
「定石を外して、ものすごい大男かもしれません」
「意外と女の子やったりかもしれんで?」
「美男子で姉が腐るのもアリかもしれんな」
「興味……ある」
一部、おかしなことを言っていないか……?
「それで、どうやってコンタクトを取ればいいか、みんなで相談したいんだ」
「もう少し、偽物についての情報が欲しいのですが……」
「ああ、それもそうだな。えっと……」
謎のヒーローはどこからともなく颯爽と現れて、困っている人の力になっているらしい。
犯罪に巻き込まれている人を助けるだけじゃなくて……
重い荷物を持っているおばあさんの手伝いをしたり、転んで怪我をした子供の治療をしたり。
幅広く活動しているみたいだ。
悪人に対して名乗ることはない。
ただ、街の人にお礼を言われた時は、「レイン・シュラウド」と名乗っていると聞いた。
「……なるほど。悪人を成敗するだけではなくて、困っている人の力にもなるんですね」
話を聞いたソラは思案顔に。
ややあって、小さな口を開く。
「では、罠を張ってみるのはどうでしょう?」
「罠?」
「ソラ達で困っている人のフリをします。そうすれば……」
「偽物が釣れるかもしれない、か」
単純だけど、効果はあると思う。
「でも、単純すぎない?」
「だよね。困っている人なら、私達が演じなくてもたくさんいると思うし……」
「しかし、我が姉は胸囲に困っているから、意外と早く釣れるかもぎゃんっ!?」
ゴガッ!!!
余計なことを口にしたルナがソラのげんこつで沈む。
ものすごい音がしたけど、大丈夫かな……?
っていうか、今の台詞、双子のルナにとっては自爆では……?
「どうでしょうか、レイン?」
何事もなかったかのようにソラが問いかけてくる。
ちょっと怖い。
「そうだな……うん、いいと思う」
というか、今できることはそれくらいしかない。
なにしろ情報が少ない。
男ということは判明しているものの、偽物はローブなどで顔を隠しているらしく、人相はわからない。
年齢も不明。
出現場所に規則性はなくて、時間帯も曖昧。
これでは次の行動を予測することができない。
少し経てば、さらに情報が集まってくるかもしれないけど……
悪人だったことを考えると、偽物に時間を与えたくはない。
「じゃあ、ソラの作戦でいってみよう!」
「「「おーっ!!!」」」
みんな、意気込むように強く叫んで……
「あー……ルナの顔色がやばいことになっとるけど、ええの?」
「「「ルナーーー!?」」」
……色々と台無しな俺達だった。
――――――――――
翌日。
俺達は街に出て、さっそく作戦を実行することにした。
餌役はニーナが申し出てくれた。
場所は街外れの広場。
そこで、ニーナは迷子になったフリをして謎のヒーローを誘い出す……という作戦だ。
単純だけど、それなりに効果はあると思う。
「……」
街外れの広場に、ニーナが一人。
不安そうな顔をして、キョロキョロと周囲を見回している。
そんなニーナを、少し離れたところの物陰で観察する俺達。
「くぅ……ホンマにニーナが迷子になったら、こんな感じなんやろか?」
「あくまでも演技だからな?」
ティナは今すぐにでも飛び出しそうだ。
でも、気持ちはわかる。
演技とわかっていても、あんな心細そうなニーナを見たら、落ち着いていられないからな。
まあ、いざとなればすぐに駆けつけることができる。
とにかく、今は様子を見よう。
作戦はうまくいくだろうか?
「……」
じっと見守ること、三十分ほど。
「おや? どうしましたか、お嬢さん」
どこからともなく、優しい顔をした男性が現れた。




