29話 ステラの悩み・その6
一緒にテニスをして、散歩をして。
おいしいごはんを食べて。
……途中、よくわからないトラブル? があったけど。
でも、それは問題なくクリアー。
楽しい時間を過ごしていた。
デートは成功と言えるのではないか?
これなら、ステラの恋人のフリもうまくいっているだろう。
どこかで見ているステラの両親も納得してくれる……と、思う。
「まだ時間はあるけど、どうしようか?」
「ふむ、そうだな……」
ステラは少し考えて、口を開く。
「このまま散歩を続けてもいいか?」
「俺はかまわないけど、散歩ばかりだと退屈しないか?」
「いや、ぜんぜん」
ステラは優しい顔でホライズンの街並みを見る。
「こうして散歩をしていると、街の人を見ることができる。話をすることができる。それがうれしいんだ」
「うれしい?」
「ホライズンは良い街だ。優しい人ばかりだ。だから、一緒にいると自然と笑顔にならないか?」
「うん、そうだな」
「そんな彼らを守ることが私の使命。改めて、騎士で良かったと思うことができて……って、すまない。デートの最中なのに仕事の話をしてしまうなんて」
「気にしないよ」
野暮と言えば野暮かもしれない。
でも……
「それがステラらしいから。そんなステラは、とても好ましく思う」
「そ、そうか……」
ステラがふいっと視線を逸らしてしまう。
なんだろう?
耳が赤いけど……
「あれ?」
問いかけようとしたところで、ふと、視界の端にとあるものが移った。
細い路地。
そこに小さな木箱が置かれていて、そこから獣耳が見える。
もしかして捨てられた子が……?
「ステラ、すまない。ちょっと見てきてもいいか?」
「えっと……ああ、そういうことか。なら、私も一緒に行こう」
「ありがとう」
細い路地に移動すると……
「にゃーん」
木箱にちょこんと座るニーナが、よくわからない鳴き声? を発した。
捨て猫や捨て犬じゃなかったけど……
でも、なぜかニーナが木箱の中に。
首から、「かわいがってください」という札を下げている。
「にゃーん」
ニーナが再び鳴いた。
なぜ、猫の鳴き声……?
分類するなら、ニーナは狐だよな……?
「えっと……ニーナは、こんなところでなにをしているんだ?」
「なん……だろう?」
ニーナ自身もよくわかっていないらしく、こてんと小首を傾げた。
「新しい遊び……なのか?」
「違う、かも?」
「なら、どうして……」
「えっと……こうして、ほしい……って、みんなに頼まれたの」
カナデ達は、いったいなにを考えているのだろう?
ちょっと、くらりと目眩がしてしまう。
「ニーナよ。遊びのつもりかもしれないが、ここは人気が少ない。表に出た方がいいぞ」
「ステラは……わたし、心配?」
「ああ、心配だ」
「そっか……うん。やめるね」
ニーナは木箱から出て、タタタと表の方に駆けていく。
途中、ぴたりと立ち止まり、振り返る。
「レイン、ステラ」
「うん?」
「む?」
「がん、ばれ」
なぜか応援される俺達だった。
――――――――――
「くううう……捨てられたペット問題を前にして、レインとステラは真面目に話をして、問題解決に取り組む。そうしている間にデートはうやむやに……という完璧な作戦が失敗してしまうなんて!」
「我が姉よ、穴だらけの作戦に思えるのだが?」
少し離れたところで様子を見守っていたソラとルナ。
カナデとタニアもいた。
「っていうか、カナデがやるべきだったんじゃない? 猫だし」
「ニーナだからこそアリで、私がやるとキツイ感じになるんじゃ……?」
「安心するのだ。その場合、我らは見てみぬフリをする!」
「ナチュラルに見捨てられた!?」
「というか……」
ふと、冷静になった様子でソラは言う。
「ソラ達は、いったいなにをしているのでしょう?」
「「「……」」」
言われてみればなにをしているのだろう?
よくわからないモヤモヤに突き動かされてデートを妨害しようとしたが、よくよく考えてみると、それはとてもダメな行為だ。
レインの邪魔になるようなことはしたくないし……
ステラのことも嫌いじゃない。
困っているのなら力になりたいと思う。
「……にゃー、帰ろうか」
「そうね」
こうして、カナデ達は家に帰ることに。
まだモヤモヤは残っていたのだけど、それは気にしないことにした。
そして、モヤモヤの正体に気がつくのは……それはまだ、もう少し先の話。
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