26話 ステラの悩み・その3
さて。
デートといっても、なにをすればいいのだろう?
突然のことなので、事前の下調べもできていない。
「えっと……とりあえず、散歩をしてみるか?」
「ああ、構わない」
ステラと一緒に街を散歩して……
なにか楽しそうなことがあれば、それに参加してみる。
ひとまず、そんな感じでいこう。
「ところで、ステラは休日はどんな風に過ごしているんだ?」
肩を並べて歩きつつ、そんな質問を投げかけてみた。
普段の過ごし方を知ることができれば、デートの参考になるかもしれない。
「そうだな……大体、鍛錬と勉強に時間を費やしているな」
「え、休日なのに?」
「ああ、休日だからこそ……だ。勉強はともかく、鍛錬は欠かせないからな。一日でも怠けると動きが鈍ってしまう。街を守る騎士として、いざという時に動けないなんてこと、あってはならない」
「真面目なんだな」
でも、ステラらしいと思う。
いつでもどんな時でも街のことを一番に考える。
騎士の鑑だ。
「なら、ちょっと体を動かしてみないか? 確か、この先の公園でテニスができるはずだ」
「いいな。ぜひ」
話がまとまったところで公園へ。
コートの利用料金を払い、それとラケットとボールをレンタルした。
ラケットを使い、ポンポーンとボールを跳ねさせて感触を確かめる。
「レインはテニスの経験が?」
「何度か遊んだ程度だよ。まあ、ラリーくらいはできると思う。試合は厳しいかな?」
「なら、ラリーで」
「わかった。じゃあ……いくぞ!」
ラケットを振り、ボールをステラのコートへ飛ばす。
慣れていないせいで端に飛んでしまうのだけど、ステラは華麗なステップを刻んで追いついて、ボールを返してきた。
「おぉ、すごいな」
「テニスは騎士の訓練に取り入れられるくらい、整ったスポーツだからな。それなりに得意だぞ」
「よし。俺も負けてられないな」
ステラの対戦相手として、恥ずかしくない程度にがんばらないと。
必死にラケットを振り、ボールを向こうに返していく。
意外というかラリーは長く続いて、ほどよく体が温まってきた。
うん。
久しぶりのテニスだけど楽しいな。
ステラも楽しんでくれているといいんだけど……
と、その時。
「おうおうおうっ」
ふと、不躾な声が乱入してきた。
振り返ると……なんだあれ?
マスクと黒のサングラス。
それと、同じく黒のコートを着た女性が、テニスラケットを片手に肩を怒らせていた。
っていうか……あの猫耳と尻尾、カナデだよな?
「あなたたち、どこの誰に断ってここのコートを使っているの?」
「なに? ここは、私達が正当な許可を得て使っているが」
「私は聞いていないよ。ここは私達のもの。このコートを使いたいなら、私と勝負してもらうよ!」
「くっ、どこの誰か知らないが無茶な話を……!」
なんでカナデがいちゃもんをつけてきているんだ……?
というか、なんでステラはカナデの正体に気が付かないんだ……?
「レイン、ここは私に任せてくれないか? あの無法者を懲らしめてみせよう。もちろん、武器は使わない。正々堂々とテニスで戦おう」
「あ、ああ……それは構わないけど」
「にゃふー、私に敵うと思っているなんて身の程知らずだね。叩きのめしてあげる!」
にゃふー、とか言っているぞ。
正体を隠す気はあるのか?
とにかくも、ステラ対謎の乱入者の試合が始まる。
最初のサーブはステラだ。
全身をバネのようにしならせて、スパァンッ! と強烈なサーブを放つ。
速い!
俺とやっていた時は手加減をしていたのか。
「甘い!」
対するカナデ……じゃなくて、謎の乱入者もやる。
正確無比に叩き込まれたボールを強引に返してみせた。
技もそうだけど、パワーがすごい。
何倍もの速度になって返球される。
「ふっ!」
「はぁあああ!」
「これでどうだ!?」
「にゃん!」
壮絶なラリーが繰り広げられていた。
視認できないほどの速度でボールが飛び交い、その度に軽い衝撃波を受ける。
二人はテニスをしているんだよな……?
戦いじゃないよな……?
「くっ」
疲労が蓄積されたのか、一瞬、ステラが体勢を崩してしまう。
それを見て、謎の乱入者が目を光らせる。
「もらったぁあああああ!!!」
「……ふっ」
「!?」
違う、ステラは体勢を崩したわけじゃない。
あれは、相手の油断を誘うための罠だ。
そして、謎の乱入者は見事に引っかかってしまった。
勝負を焦り、技術は捨てたパワー重視の一撃を放つが……
それを予期していたステラは、絶妙なタイミングで絶妙な場所にボールを返した。
「うにゃ!?」
謎の乱入者はボールを取ることができず……勝負が決する。
「私の勝ちだな」
「くううう……」
「なぜこんなことを? ……と、問いかけたいところだが、それは野暮だな」
「にゃん?」
「今は、互いの健闘を讃えよう。良い勝負だった……そして、楽しい勝負だった」
「……ステラ……」
ステラが手を差し出して、謎の乱入者がそれに応える。
「また勝負をしよう」
「うん、そうだね!」
良い話で終わったのだけど……
「あんた、なにやってるのよ!?」
「敵と意気投合してどうするのだ!?」
「悪役にならないのダメですよ!?」
少しして後ろの方から妙な声が聞こえてきたものの、それはまた別の話だ。
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