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23話 はじめてのおつかい・その7

「うー……大丈夫やろか? 事件に巻き込まれていないやろか?」


 とても不安そうな顔をしたティナが、リビングと玄関の間を行ったり来たりしていた。


 その様子に、俺は苦笑してしまう。


「もうちょっと落ち着いたらどうだ?」

「落ち着くなんて無理や! 今この瞬間も、ニーナが大変な目に遭ってるかもしれんのやで!?」

「そこまで心配しなくても……」


 領主が代わったことで、ホライズンの治安は劇的に良くなった。

 多少の事件は起きているものの、子供が被害に遭うようなひどい話は聞いたことがない。


 それに、ニーナは子供だけど最強種だ。

 ああ見えて、そこらの人間より遥かに強い。


「あと、ニーナはわりとしっかりしているからな。ちゃんとおつかいをしてきてくれるさ」

「せやけど……うー、心配なものは心配やねん!」


 気分はニーナの母親だ。

 ティナのそわそわは止まらない。


 でも……


 気持ちはわかるつもりだ。

 ニーナが仲間になって以来、いつもティナが一緒にいたからな。

 母親のような気持ちになるのも当然だろう。


「それに、ニーナはかわいいから、よからぬことを考える輩もいるかもしれん!」

「それは……」


 こちらも否定できない。


 見た目だけの問題じゃなくて、心のあり方というか性格というか……

 ニーナのためになにかしてあげたい、と自然に思うんだよな。


 もしかしたら、そういうところが影響して、悪人がニーナを狙うかもしれない。


「でも、大丈夫だろ」

「なんでや!?」

「だって、みんながついているし」


 ニーナの独り立ちのためとはいえ、さすがに完全に一人で行動させるわけにはいかない。

 カナデ達、みんながこっそりと後をつけて様子を見てもらっている。


「なにかあれば、すぐに対応してくれるさ。みんななら……」


 ドゴォオオオオオーーーーーンッ!!!


「……」

「……」


 俺とティナは顔を見合わせて、


「「なんだ!?」」


 慌てて外に出た。


 街の方を見ると、天に向かって火柱が伸びていくのが見えた。

 あれは……タニアのドラゴンブレス?


「あー……」


 たぶん、ニーナを狙う不届き者が現れたんだろうな。

 そしてタニアにおしおきされた……そんなところだろう。


 ティナを見て、苦笑を向ける。


「守りは完璧だろ?」

「ちと過剰防衛すぎん……?」


 ティナも苦笑を返してくるのだった。




――――――――――




「ただい、ま」

「おかえりやでー!!!」


 ニーナが帰ってきた瞬間、ティナはヒューンと飛んでいった。

 抱きしめることはできないけど、代わりにすぐ近くに寄る。


「どやった? おつかい、どやった?」

「だい、じょうぶ……はい」


 ニーナは亜空間から次々とものを取り出した。

 いずれもお願いしたもので……って、やけに調理器具が多いような?


「おまけ、してもらったの」

「そうなのか? 後でお礼に行かないとな」

「レイン」


 ニーナがとてとてと歩み寄ってきて、こちらを見上げる。

 そのまま、期待するようにじーっと俺を見る。

 三本の尻尾は、なにかを催促するかのように落ち着きなく揺れていた。


「ありがとう、ニーナ」

「ふぁ」


 そっとニーナの頭を撫でた。

 これでいいかな?


「ニーナのおかげで、すごく助かったよ。本当にありがとう」

「ウチからもお礼を言うで。ありがとな、ニーナ」

「えへへ」


 ニーナはにっこり笑顔に。

 小さくぴょんぴょんと跳ねて、全身で喜びを表現していた。


 一人でおつかいをできたという達成感。

 それと、みんなの役に立つことができたといううれしさ。

 その両方を受けて、笑顔が止まらないみたいだ。


「レイン」

「うん?」

「その、あの……もっと、撫でてほしいの」

「ああ、お安い御用さ」

「えへへ」


 リクエストに応えて、さらにニーナの頭を撫でた。

 ついでに、三本の尻尾のブラッシングをする。


 ニーナはとてもうれしそうに、気持ちよさそうにしていて……うん。

 おつかいのご褒美になってくれたのならなによりだ。


 そんなことが一通り終わり、ふと、ニーナが思い出した様子で言う。


「他のみんな……は?」

「えっと……」


 そういえばカナデ達の帰りが遅い。

 どうしたんだろう? と思っていると……


「……うにゃあああああっ!!!」

「「……イクシオン・ブラスト!!!」」


 街の方から、そんなかけ声が聞こえてきた。

 少し遅れて、爆音。


 どうやら、ニーナを狙う不届き者がまだ残っていたらしい。


「どう、したんだろう……?」

「なんでもないさ。それよりも、ごはんの準備をしないとな」

「ニーナも手伝ってくれへん?」

「うん。がん、ばる!」


 ニーナはにっこりと笑い、頷いた。

 初めてのおつかいを達成した彼女の笑みは今までと違い、少しだけ大人っぽく見えるのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] 悪の皆さん時間軸が本編最新辺りじゃなくてよかったね 最新の時間軸だとニーナ並に人付き合いが悪いフィーニアがいるから第2弾開催もありえるのだが
[気になる点] うむ。ニーナを狙った不届き者達なんですがお仕置きしたのが、カナデ達で良かった?かもしれないですね。 もしも、母親のノキアさんだったら亜空間に・・・いや、これ以上は言わないでおこう。 …
[一言] 感想欄常連の「ラビット」さん、いつも仲間たちに折檻されてますね・・。身体は持つのでしょうか・・。
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