226話・遭難その11
脱出のための船を作る。
本来なら、救助を待つのが正解なのだけど……
この島では、みんなは本来の力を発揮することができない。
それと、島の位置が不明だ。
俺達の遭難は、ホライズンの人は気づいているだろう。
ナタリーさんもステラもいる。
今頃、必死に探してくれていると思う。
ただ、連絡を取る手段がない。
向こうがこちらを見つけてくれるかどうか、それはもう運。
簡単なことなら運任せにしてもいいが……
この後の人生と命。
この二つを運任せにしてしまうのは、さすがに抵抗がある。
故に、自力での脱出を試みることにした。
まあ……
船を作るだけではなくて、島の位置を探り、保存食などをたくさん作るなど、他にもやらないといけないことはたくさんあるのだけど。
まずは、第一歩として船を作ることにした。
――――――――――
「はいはーい、質問!」
みんなを集めた会議で、カナデが挙手した。
「船って、どうやって作ればいいの?」
「あたし、でかい船を造りたいわね。名前は、クイーンタニア号よ」
「いいや。アルティメットルナ号なのだ!」
「二人が考えている船は、だいたい想像できるが、しかし、そのような大きなものは不可能だと思うぞ」
ステラが苦笑しつつ、そう言う。
「にゃんで?」
「そういう巨大な船は、しっかりとした工場……造船所で作られるんだ」
「造船所で作る、その後、海に……というのが一般的な流れですね。でも私達は、造船所なんて持っていないので」
「海の上で作ればいいじゃない」
「あのですね……常に波が行き来する、不安定な海の上で巨大な船を? たまに嵐が来るかもしれないのに?」
「「うっ」」
ソラの的確な指摘に、カナデとタニアは言葉もない様子で黙り込む。
「作るなら、小型船……いえ。私達全員が乗れるような、中型船でしょうか? それでも、なるべくサイズは小さく、コンパクトに」
「そうだな、ソラの言う通りのものを想定しているよ」
木の枝を使い、地面に船を描いていく。
個人が漁業で使うような小型船。
それらを二つ横に並べて、間に居住スペースを設置するという船だ。
「珍しい形をしていますね」
「双胴船っていうヤツだ。こうすることで船の安定感が増すし、間に居住スペースを設けることができる。一石二鳥だな」
「「「おーーー」」」
みんな、感心したように言う。
ただ、これが最適なのかどうか、ちょっと疑問だ。
これよりも、さらにいいものがあるかもしれない。
「と、いうわけでアイディア募集だ。これを基本に、さらにいい形にしたいんだけど、なにかいいアイディアはないかな?」
「はい」
ソラが挙手した。
「ソラ達は、人数が多いです。乗るだけではなくて、食料などのことも考えると、どうしても大きさが必要となります。なので、大きくして……ただ、それでは転覆のリスクが増してしまうので、アウトトリガーをつけるのはどうでしょう?」
「ニャントリガン?」
「カナデの耳は壊れているんですか?」
「壊れてるのだ」
「壊れとるなー」
「代わりに答えられた!?」
カナデが、ガーンという感じで嘆いた。
今のは仕方ないと思う。
「アウトトリガーってのは、なんていえばいいかな。船の横につける浮き輪みたいなものだな。あえて重りをつけることでバランスをとり、転覆を避けるんだ」
「にゃるほど……」
「双胴船だと大きくなるから、その分、アウトトリガーなどで補強した方がいいかもしれないな。ナイスアイディアだ、ソラ」
「ふふ、どういたしまして」
「「「あーーー!?」」」
ソラの頭を撫でると、みんなが恨めしそうな顔に。
……どうして、ナタリーさんとステラも混ざっているのだろう?
「はいはいはい! そういうことなら、私もアイディアがあるよ!」
「あら。あたしのアイディアの方が、きっと優れているわ」
「我も考えたのだ!」
「うちもやでー!」
「がん、ばる」
「受付嬢の見せ所ですね!」
「騎士として負けていられないな!」
なぜか、アイディア出し合戦が始まってしまい……
その後、色々と。
本当に色々とあったものの、なんとかアイディアがまとまり、船の設計図が完成した。
それを完成させるために、ちょっと周囲にクレーターができたりしたけど。
それは、見なかったことにしておく。




