223話 遭難・その9
まず、チームを三つに分けた。
一つは、蒸留装置を洞窟の家の中まで運ぶ係。
蒸留装置は生命線と言っても過言ではないため、なによりも優先したい。
壊れないように、ゆっくりと安全に。
しかし、数が多いため、全部を運べるように迅速に。
こちらは、カナデとティナに担当してもらった。
能力が衰えているとはいえ、カナデの力なら、蒸留装置は一人で運ぶことができる。
ティナも、念動力を使えば、同じく蒸留装置の運搬が可能だ。
二つ目のチームは、タニアとステラとナタリーさんとニーナ。
どれだけの間、嵐が留まるかわからない。
もしかしたら、一週間、ずっと嵐かもしれない。
そういった事態に備えて、今のうちに、できるだけの食料を集めておくことにした。
タニアとステラは狩りをして。
ナタリーさんとニーナは、果物や野草などを採取する。
両手でいっぱいに抱えるほどを集めてもらい。
さらに、ある程度能力が制限されているものの、ニーナの亜空間収納にも詰め込んでもらう。
その後は、燻製したり、簡単な魔法で作った氷室で冷蔵保存したり。
できる限りを蓄えてもらうことに。
最後のチームは、俺とソラとルナ。
まずは、洞窟の家のチェック。
どこかに穴が空いて、それが表に繋がっていないか?
そんなものがあれば、そこから水が入ってくる可能性がある。
調査の結果、なし。
安心だ。
続いて、表の門や扉、柵の強化。
現状は簡単な作りなので、もしかしたら嵐で壊れてしまうかもしれない。
そんなことにならないように、しっかりと補強しておくことにした。
あとは、畑の対策。
難しいかもしれないが……
できるのなら嵐を耐えてほしい。
簡易的な屋根を畑まで伸ばした。
全ては無理だけど、ある程度、雨は防げるはずだ。
それと、風避けのフェンス。
カバー。
浸水を避けるための排水路を作り……
できる限りの備えをする。
「ふぅ」
ひとまず、できることはやったかな?
あとは、じっと耐えるだけ。
大丈夫。
たくさんの準備をしているから、ここでどうにかなることはないと思う。
「えっと、みんなは……」
「レインー!」
カナデを先頭に、みんなが姿を見せた。
「作業、終わったよ」
「あたし達は、食べきれないほどの食べ物を確保したわ!」
「いっぱい……だよ?」
「野草もいっぱいです!」
「やや苦いが、栄養があるものが多い。飲み物にしてもいいな」
「みんな、バッチリやな」
「これだけ準備をすれば、嵐なんて怖くないよ!」
「ああ、そうだな」
考えられる限りの準備をした。
これで、きっと嵐を乗り越えられるはずだ。
「嵐なんて楽勝なのだ!」
「楽勝だよね!」
「「「あっはっはっは!!!」」」
――――――――――
ゴォオオオオオーーーーーッ!!!!!
「「「ぎゃーーーーー!!!?」」」
ものすごい嵐だった。
洞窟の家に避難しているのに、音や振動が伝わってくる。
ビリビリと空気が震えているかのよう。
しっかりと対策をしたはずなのに、どこからともなく水が入り込んできて……
「ニーナ、そこに溜まった水を外に!」
「うん……!」
「他のみんなは、水をすくえるもので、とにかく水を外に! ここが水に沈むと、かなりまずい!」
「わ、わかったよ!?」
汗水流して、必死に排水作業をして。
あと、ガタガタと揺れて、今にも飛んでいきそうな扉を補強して、支えて。
それから、どこからともなく避難してきた小動物や鳥を保護して。
……嵐は思っていた以上にすさまじく。
三日間、猛威を振るうのだった。




