222話 遭難・その8
無人島での新しい一日がやってきた。
昨日の釣りで、たくさんの保存食を作ることができた。
カナデ達が狩ってきた猪や鹿などの肉も使い、同じく保存食を作ることができた。
魔法で冷凍庫も作り、そこに果物などを保存した。
蒸留装置で作った水を貯める場所も作った。
無人島での生活は順調だったのだけど……
ただ、ここまで運がよかっただけ。
本来は、苦難がたくさんあるはずなのだ。
――――――――――
見上げた空は灰色の雲に覆われていた。
空気もしけっていて、なんだかまとわりついてくるかのようだ。
「今日、雨降るのかな?」
「ブレスが使えれば、雨雲なんて吹き飛ばすのに」
「……」
「レイン? どうしたの、難しい顔をして?」
カナデがこちらの様子に気づいて、小首を傾げた。
「いや……少し気になることがあって。ちょっと、海を見てくる」
「私も行くね」
「あたしも」
カナデとタニアと一緒に海に移動した。
波は……少し高いな。
それと、普段はこのあたりにいる海鳥がいない。
「ついでに言うのなら……」
「どうしたの?」
「ほら、あそこ……向こうの空が黒くなっているだろう?」
まだ距離はあるが、果ての空が黒くなっていた。
「なにかしら、あれ?」
「なんだか嫌な感じがするね……」
二人の予感は正解だ。
「もしかしたら、嵐が来るかもしれないな」
「嵐!?」
「えっ、大変じゃない!」
「この辺りは温かい……というか暑いくらいだから、嵐が来たら、けっこう大規模なものになるはずだ。今すぐに、ってことはないだろうけど……うん。今から対策を進めた方がいいな」
「うん、そうだね!」
「ごめん。すまないが、二人はみんなを家に戻してくれないか? 俺は、みんな集まるまでに対策を考えておくから」
「オッケー、任せてちょうだい!」
「私達も、なにかできることはないか、考えておくね」
「頼んだ」
カナデとタニアは、洞窟の方に戻っていった。
一人残った俺は、彼方を睨む。
相変わらず空は黒い。
湿気。
それと、強い風。
「予想が外れてほしいけど、そういうわけにもいかなそうだな……」
どれくらいの規模になるかわからないけど、嵐は確実に島を襲うだろう。
洞窟の家に避難すれば、雨風は問題なくしのげるが……
「浸水の可能性もあるから、確実に安全とは言えないか。それに、せっかく作った蒸留装置を壊されたくないから、避難させて……畑は、どうしようもないか」
あと、嵐もチャンスに変えられる。
大量の水が入る機会だ。
蒸留などは後にして、ひとまず、水を大量に確保する手段もできれば用意しておきたい。
「やることがたくさんだな……大変なことになりそうだ」
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