221話 遭難・その7
旅行に出たものの、突然の嵐に遭い、気がつけば無人島へ。
その無人島は特殊な場所で、うまく能力を使うことができない。
磁場も狂っているらしく、地図などで居場所を特定することができない。
そんな場所で、サバイバル生活が始まったのだけど……
「ひとまず、いい感じだな」
みんなの協力のおかげで、門と柵。
床と壁と天井。
さらに、扉と個室のある、しっかりとした家を洞窟に作ることができた。
それと、水も確保することができた。
ナタリーさんやステラ達が蒸留装置をたくさん作ってくれたおかげだ。
他のメンバーも、狩りに出て。
それと、野草や果物を採取してくれて。
食料問題も解決しつつあるのだけど……
「今日は、釣りをしようか」
「やっふー! 釣りなのだ!」
「ソラは、釣りをしたことがないので楽しみです」
「がん、ばる」
ソラとルナ。
それとニーナと一緒に、海辺にやってきた。
野生動物は生息してて、野草や果物もある。
ただ、それらは無限にあるわけじゃない。
できる限り、食料確保のルートは増やしておきたいから、今日は釣りをすることにした。
釣り竿は、森の中に生えていた竹を使い、簡単なものを製作した。
糸は、ちょっともったいないのだけど、予備の服の糸を使う。
そのままだと簡単に切れてしまうので、ソラとルナに魔法で強化してもらった。
うまく能力を使うことができない島だけど、それくらいの魔法は使えるみたいだ。
「みんな、俺の言う通りにやってくれ」
「「「はい!」」」
みんなに竿を配る。
「レインよ。竿はいいが、餌はどうするのだ? 餌がないと、魚は食いついてくれないと思うが……」
「餌なら、ここら辺にたくさんいると思う」
今いるところは、砂浜ではなくて、小さな石や岩が転がる場所だ。
適当な大きさの石をひっくり返すと……
「よし、いた」
小さな虫を発見。
そいつを捕まえて、糸の先にくくりつける。
「こんな感じで、餌になる虫はたくさんいるから……あれ?」
気がつけば、ソラとルナ。
ニーナの姿が消えていた。
遠くを見ると、慌てた様子で逃げていく後ろ姿が。
「……どうして逃げるんだ?」
――――――――――
女の子は虫が苦手。
最強種とて、それは同じ。
同じ失敗はしないように、餌の準備は俺がすることにした。
それから、四人で並んで釣りを始める。
「おっ、きたきた」
竿がぐいぐいと引っ張られる。
タイミングを見て引き上げると、うまく魚を釣り上げることができた。
「おー、さすがレインなのだ」
「とても上手ですね。コツなどはあるんですか?」
「竿が引っ張られた時、すぐに引っ張らないで、ここだ、っていうタイミングを探すことかな? そこは感覚の話だけど、ここならいける、っていうのを感じる時があるんだ」
「がん、ばる」
俺のアドバイスで得るものがあったのか。
みんな、次々と魚を釣っていく。
「やった、また釣れたのだ!」
「ですが、ソラの方がたくさん釣っていますよ、ふふん♪」
「みんな、喜んで、くれるかな?」
木を加工して作ったバケツがいっぱいになっていく。
爆釣だ。
これなら、今日の夕飯はとても豪華なものになるだろう。
それだけじゃなくて、たくさんの保存食が作れそうだ。
ちょっとわくわくして喜んでいたら……
「む!?」
突然、竿を握るルナが険しい表情をした
グイグイ! と、これまでにない勢いで竿が引かれ、ルナがずりずりと引きずられていく。
「ルナ!」
「大丈夫ですか!?」
「んっ!」
慌ててみんなでルナを支えた。
しかし、それでも止められないほど、竿にかかる力は大きい。
「こ、これはとんでもない大物なのだ……!」
「ぐっ……本当にとんでもないな。このまま引きずり込まれてしまいそうだ」
「こ、こんな時に、ちゃんとした魔法が使えれば……!」
「……ふぁ」
みんなで頑張る中、ふと、ニーナが顔をむずむずさせて。
「くしゅんっ!」
「「「あっ」」」
ニーナが絶妙なタイミングでくしゃみをしたことで、緊張が途切れてしまい、力も抜けてしまう。
ただ、ルナだけは竿をしっかりと握っていて……
「おわぁああああああああああ!!!?」
「「ルナーーーーー!?」」
竿に引っ張られて、ルナが海の中に消えた。
――――――――――――
……数十分後。
なんとかルナを助け出せて、巨大魚もゲットした。
しかしルナは釣りがすっかりトラウマになってしまったらしく、ガタガタと震えつつ、「釣りはもう嫌なのだ……釣る側なのに釣られ引きずり回されるなんて、最悪なのだ……」
と、虚ろな目をしてぶつぶつとこぼすのだった。
◇ お知らせ ◇
新作はじめました!『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』
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