20話 はじめてのおつかい・その4
「えっと……」
街中を歩きつつ、ニーナは買い物リストを見る。
次に必要なものは香辛料だった。
色々な香辛料の名前が書かれているが、ニーナにはさっぱりわからない。
「どう……しよう?」
少し考えて、
「……お店の人に、任せる」
丸投げすることにした。
しかし、それが正解だ。
料理の専門家でもないニーナが香辛料の判断なんてつくわけがない。
素直に店の人を頼るのが吉だ。
香辛料を扱う店は、確かこっちの方だったはず。
ニーナは自分の記憶を頼りに、商店街の奥へ進み……
「あっ、ニーナちゃんだ! やっほー」
街の子供がニーナのところへやってきた。
ティナや他の仲間達と一緒に街を散歩している時、知り合い、友達になった子供だ。
「こん、にちは」
「こんにちはー!」
礼儀正しく、ニーナも子供も、まずはぺこりとお辞儀をして挨拶を交わした。
「ねえねえ、ニーナちゃんはなにをしているの?」
「わたし、は……」
「よかったら、これから一緒に遊ばない?」
ニーナの返事を待たず、子供はそう誘う。
キラキラとした顔をしていて、ニーナと一緒に遊ぶことをとても楽しみにしている様子だった。
どうしよう? とニーナは迷う。
今はおつかいの途中だ。
遊びに行くわけにはいかない。
でも……本音を言うと遊びたい。
仲間以外で初めて気を許した相手。
一緒に遊んで、楽しい時間を過ごしたいと思う。
「えっと……わたし……」
「私のおうちで、お人形さんで遊ぼう?」
「お人形……さん」
ニーナの心がぐらりと揺れた。
お人形さん。
なんて素敵な響きなのだろう。
「あと、お母さんが作ってくれたクッキーもあるよ」
「クッキー」
さらに心がぐらりと揺れた。
クッキー、クッキー、クッキー……
甘くてサクサクで、ほろほろのクッキー。
一口食べたら幸せがいっぱい。
二口食べたら笑顔でいっぱい。
全部食べたらうれしさいっぱい。
「それと、ニーナちゃんと一緒に、ふかふかのベッドでお昼寝したいな」
「お昼寝」
どかーん! と心が打ちのめされるほどの衝撃を受けた。
お昼寝はすばらしい。
ふかふかのベッドで、おひさまの匂いがする枕で寝るのは最高だ。
「……うぅ……」
迷う。
迷う迷う迷う。
ものすごく迷う。
そうしてニーナが出した結論は……
「ごめん……ね?」
首を横に振る。
一緒に遊びたい。
クッキーを食べて、お昼寝をしたい。
でも……
自分はお買い物の途中なのだ。
家では、みんながお腹を空かせて待っている。
それをなかったことにはできない。
みんなのためにがんばらないといけないのだ。
「わたし……お買い物の、途中……なの」
「そうなの?」
「うん。だから……」
「そっかー、タイミングが悪かったね……なら、また今度遊ぼうね? 約束!」
「うん、約束」
「えへへー、じゃあまたね、ニーナちゃん」
「また、ね」
ばいばい、とニーナは手を振り、子供を見送った。
――――――――――
「ようやった、ようやったで! くううう……まさか、ニーナのこんなにも成長したところを見られるなんて……ウチは、ウチはものすごい幸せ者や!」
影で様子を見守っていたティナは、ニーナの成長に感涙していた。
……大げさである。
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