16話 そうだ、キャンプに行こう・その8
「んんんぅーーー!!!」
朝。
テントの外に出て、太陽の光を浴びつつ思い切り伸びをした。
「うん」
山の空気はおいしいな。
澄んでいるというか、寝起きの頭が一気にスッキリする。
「たまにはキャンプもいいものだな」
いつもと違う目覚めに気分は爽快だ。
たまにでいいから、また味わってみたくなる。
「……それにしても」
カナデ達のテントを見る。
そろそろ起きてきてもいい時間なのに、まだ誰も姿を見せていない。
寝坊だろうか?
俺が中を確認するわけにはいかないし……
「……もう少し様子を見るか」
たぶん寝坊だろうと思い、ひとまずは様子見。
みんなが起きてくるまでの間、朝食の準備をすることにした。
「おはようさん」
「ティナ、おはよう」
最初に起きたのはティナだ。
彼女は幽霊だから寝ることはないんだけど……
でも、長いこと幽霊をやる中で寝る方法を身に着けたらしく、自由自在に起床就寝ができるらしい。
幽霊でも中身は人間。
寝ないと違和感があって精神的におかしくなるらしく、最近は、こうしてちゃんと睡眠をとっているのだとか。
「すまんなー、ちと寝坊してもうた。手伝うでー」
「ありがとう。でも、ティナが寝坊なんて珍しいな?」
「昨日は盛り上がってなー」
「盛り上がる?」
なんのことだろう?
疑問の視線を向けるのだけど、
「ふふ、それは秘密や♪」
ティナはいたずらっぽい表情をして、唇に人差し指を当てるのだった。
――――――――――
「「「ごちそうさま」」」
みんなが起きて、朝食を食べて……
そして食事を終える。
あとは撤収準備をして帰るだけだ。
ただ、すぐに帰るのは寂しいので……
「ほら」
「にゃん?」
みんなにマグカップを配る。
その中には、さきほど挽いたばかりのコーヒーが入っていた。
挽きたてだから香りがいい。
それに、川の水を使っているから味もおいしい。
「「「んぅ~♪」」」
みんな、コーヒーを飲んでにっこり笑顔に。
ティナは飲めないけど、でも、香りを楽しんでいる様子でご満悦だ。
「なんだろう? このコーヒー、すごくおいしく感じるよ」
「朝に飲んでいるから……ううん、それだけじゃないわね」
「キャンプをしているから、というのがスパイスになっているんでしょう」
「キャンプコーヒーは最高なのだ!」
「これ、また来たくなるなー」
よかった、楽しんでくれたみたいだ。
このために色々と用意しておいたのだけど、その甲斐があった。
「ねえねえ、レイン」
「うん?」
「キャンプっていいね。私、また来たいな」
「あたしも」
「ソラもです」
「我もだ!」
「ウチも来たいでー」
「……うん、そうだな」
俺も、またみんなでキャンプをしたい。
いや……
キャンプだけじゃない。
今度は海に行ってもいいかもしれない。
あるいは、遠くの観光地に出かけるのもアリだ。
みんなと一緒なら、どんなところでも楽しく過ごすことができる。
一が十になるくらい楽しくなる。
だから……
「また、みんなで遊ぼうか」
「「「おーっ!!!」」」
楽しそうな声が響いて。
それと、にっこりとみんなの笑顔が咲くのだった。
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