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15話 そうだ、キャンプに行こう・その7

「それじゃあ、おやすみ」

「「「おやすみー」」」


 レインはみんなに挨拶をして、一人、小さなテントに移動した。


 カナデ達としては、同じテントでも気にしなかったのだけど……

 それはまずい、と本人が辞退してしまった。


 残念、とカナデ達は落胆するものの、無理に引き止めるわけにはいかない。

 それに、よくよく考えたらテントのような狭い場所で一緒に寝るのは恥ずかしいのではないか?

 そう考えると、これでいいか、とみんな納得した。


「では、おやすみなさい」


 そう言い、ソラは寝袋に入ろうとするが……


「待つのだ、姉上よ」

「ふっふっふ、まだ寝るには早いよー」


 カナデとルナが不敵に笑う。

 その笑みがうつったかのように、タニアとティナも不敵に笑う。


 異様な迫力を覚えて、ソラは一歩、後ずさる。


「な、なんですか……?」

「せっかくのキャンプなのだ。すぐに寝てしまうなんてもったいないのだ」

「夜の乙女トーク……それこそがキャンプの本番やで!」


 ティナも加わり、にっこりとそう言う。


「えっと……」


 右を見ると、にっこりと笑うカナデとタニア。

 左を見ると、やはりにっこりと笑うルナとティナ。


 逃げ場はない。

 やれやれ、とソラはため息をこぼす。


「……わかりました。お付き合いします」

「うんうん、やっぱりみんなが揃ってないとねー」

「でも、夜の乙女トークって、なにを話せばいいのかしら?」

「それはもちろん、一つしかないでー」


 ティナがニヤリとしつつ、どーんと言い放つ。


「ずばり、恋バナや!!!」

「「「恋バナ!?」」」


 これはカナデ達も予想外だったらしく、驚きの声をあげた。

 そんな女性陣を見て、ティナはニヒヒと笑う。


「キャンプの夜。乙女だけ……となれば、恋バナしかないやろ」

「そう……なの?」

「せやで。世界の常識や」

「そうだったんだー……」


 あっさりと騙されてしまうカナデ達だった。


「ってなわけで、恋バナしよか」

「こ、恋バナかぁ……」

「ちょっと楽しそうね」


 なんだかんだで、カナデ達は乙女。

 恋バナとなれば自然とテンションが上がるのだった。


「じゃ、ストレートに聞くけど、みんな、好きな人おるん?」

「「「っ!?」」」


 カナデ達はビクンと震えて、互いの顔を見た。

 その頬は赤い。


「にゃー……好きな人は、その、いないといえばいないけど……」

「でもまあ、気になる人はいるというかなんていうか……」

「む、難しい話ですね……」

「少しこそばゆいのだ……」


 それぞれ想い人の名前を口に出すことはなくて……

 でも、それとなく匂わせるような発言をして、牽制する。


 直接口にするのは恥ずかしい。

 でも、先を越されたくない。


 なんとも微妙な乙女心だった。


 そんなカナデ達を見て、ティナはニヤリと笑い、爆弾を投下する。


「ちなみに、ウチはレインの旦那が気になってるで?」

「「「っ!?」」」


 ティナを除く全員が、驚きに目を大きくした。


 カナデの尻尾がピーンと立つ。

 タニアの尻尾もピーンと立つ。

 ソラとルナの羽もピーンと立った。


 精霊族の羽は尻尾みたいなものなんかい!

 ……と、ティナは心の中でツッコミを入れておいた。


「優しいし頼りになるし、家事ができるところもポイント高いな。もちろん、助けてもらったことも、めっちゃ感謝してるで? 気になって当然やな」

「そう言われると……」

「レインって、すごく優良物件ね……」

「我らも助けられたのだ……」

「その後も、たくさんお世話になって……」

「「「……」」」


 全員が頬を染めて、ちらりと目を合わせる。

 そこにある感情は、皆、共通していた。


 恋と呼べるかどうか、それはまだわからない。

 淡い想い。

 ただ、その想いについてとことん語り合いたい。

 語り合う仲間が目の前にいる。


「にゃー、私、ちょくちょくレインのことを考えて……」

「こういうのよくわからないんだけど、でも、レインなら悪くないっていうか? むしろ、良いっていうか?」

「ソラは、人間の良さを少しずつわかってきましたが、それでもやはり、レインが一番で……」

「我の隣に並び立つことができるとすれば、それはレイン以外にいないだろう! それはつまり……」

「ウチ、幽霊やけど、レインの旦那だけは普通に接してくれるんよねー。それがやっぱり……」


 わいわいがやがやと、乙女たちの女子トークは続く。

 夜遅くまで続く。




――――――――――




 少し離れたところにあるレインのテント。

 女子達の声はそこまで届いていた。


 幸いというべきか、距離があってテントで隔たれているため、会話の内容までは聞こえてこない。

 こないのだけど……


「……みんな、なにを話しているんだろう?」


 色々と気になるレインだった。

読んでいただき、ありがとうございます!


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既存の作品を大幅にリファインして、新作を書いてみました。

娘に『パパうざい!』と追放された父親ですが、辺境でも全力で親ばかをします!

こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

― 新着の感想 ―
[良い点] 今更さ、仲間たちはレインのこと好きなのは分かってるんだから、素直に言えばいいのにね。 って・・そんな簡単に言えたらいいんだけどね〜〜・・。
[一言] そういえば、ニーナは? ガールズトークが始まる前にスヤスヤと寝息を立てていたのかな?
[気になる点] ニーナ就寝後、ティナによる、ソラとルナの呼んでいた本の大暴露が待っている訳ですね?(ぇ
2022/06/22 21:53 退会済み
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