140話 運動会・その4
次は障害物競走だ。
タニアが出場する。
そして、白組のエースは……
「ふふ、よろしくお願いしますね」
再びスズさんの出場だ。
絶対に侮ることはできない。
彼女の身体能力は、先程の100メートル走で証明済み。
さらに、そのしなやかな体は、簡単に障害物を乗り越えるだろう。
普通にやったら負けてしまうが……
かといって、カナデがやったような卑怯な手に出たら、後でどんな目に遭わされることか。
「ふふんっ、ここはあたしの出番ね!」
タニアが名乗りをあげた。
「大丈夫か? 相手は、あのスズさんだぞ……?」
「大丈夫よ、レイン。確かにスズさんは脅威だけど、あたしのパワーなら打ち勝てるわ!」
「「「おーっ」」」
みんな、タニアの頼もしい言葉に感心して、
「「「……?」」」
そもそもパワーも負けているのでは? と気づいて、疑問顔になった。
スズさん、体は細く小さいけれど、その身に秘められたパワーも相当なものだ。
軽くカナデを凌駕する。
タニアが勝っているとは思えないのだけど……
「じゃあ、行ってくるわ! 応援、よろしくね」
「あ、うん。がんばれ!」
本人は自信たっぷりだから、なにか秘策があるのかもしれない。
俺達、赤組はタニアを応援する。
「お手柔らかにお願いしますね」
「こちらこそ」
タニアとスズさんが不敵に笑い合う。
一応、他にも出場者はいるのだけど……
蚊帳の外に置かれているみたいだ。
「準備はいいですか?」
「「「……」」」
「よーい、どん!」
審判の合図で、選手が一斉に駆け出した。
ただ、全力ではない。
これは障害物競走。
速度よりも、いかに障害物を乗り越えていくことが攻略の鍵になる。
「ねえねえ、レイン」
ふと、ニーナが小首を傾げた。
「障害物……どこ?」
「あれ? そういえば……」
200メートルのコース。
でも、見た感じ、なにも障害物が設置されていない。
運営のミス?
でも、レースは正常に行われている。
不思議に思っていると……
ドガァッ!!!
「ぎゃあああああ!?」
先頭を行く選手がいきなり爆発に巻き込まれて、空高く吹き飛んだ。
『おおっと、ここでトラップ、地雷の発動だー! 哀れな冒険者、さっそく障害物競走の犠牲となりましたー!!!』
「「「なんだそれ!!!?」」」
俺を含めて、みんなのツッコミがナタリーさんの実況に炸裂した。
障害物って、そういう意味なのか?
網をくぐり抜けるとか、平均台を渡るとか、そういうものじゃなくて……
もっと物理的で危険な障害を乗り越えていく、っていうことなのか!?
「うわあああああっ!?」
『さあ、第二の犠牲者です! 落とし穴です! ちなみに、運営スタッフががんばって10メートルくらい掘っておきました! 果たして這い上がれるのでしょうか!?』
その前に命の心配をしてくれ!
『おっと!? そういうしている間に、空からの魔法の爆撃によって、第三、第四の犠牲者が!? これぞ障害物競走! なんて過酷で冷酷、酷いレースなのでしょうか!?』
だから、運営がそんなことを言うな!
って……
タニアとスズさんは大丈夫だろうか?




