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134話 人狼ゲーム・その7

「あれ!? ど、どういうこと……?」

「あたし達が勝つ流れだったわよね、今の……?」


 みんな、目を大きくして驚いていた。

 たぶん、俺も似たような表情をしていると思う。


 どういうことだ……?


 あれから事前に相談した通り、サクラ、リファの順で吊った。

 ソラは最初に狙われてしまい、占うことができなくなっていた。


 カナデは、俺とイリスのセットがやられたらまずいので、どちらかの護衛に回ってもらっていたのだけど……

 でも、それは大きなミスではないはずだ。


 人狼候補はサクラと、あるいはリファとライハ。

 状況的に見て間違いない。

 それなのに、いったいどうして……


「では、答え合わせといきましょう」


 コハネは、妙に楽しそうな感じで言う。


「まず、一人目の人狼ですが……これは、ソラさまが占われた通り、サクラさまです」

「わふー! ぼく、がんばった! がおー」


 人狼を真似ているのかもしれないが、可愛いしかない。


「二人目の人狼は……今は秘密にしておいて、バーサーカーですが、こちらもルナさまで正解です」

「どやっ」

「なぜ、そこでドヤ顔をするのですか……」

「暴かれて、子供みたいに動揺していたくせに」

「ふふんっ……それは、我の策なのだ!」


 ルナは不敵に笑い、


「その通りでございます」


 コハネも彼女の言葉を肯定した。


「ど、どういうことにゃ……?」

「遅かれ早かれ、我と姉の占いが被ってしまうことは目に見えていた。そうでなくても、我はバーサーカー。嘘を基本とするから、いずれ、誰かが違和感に気づくだろう。我は、そこに賭けたのだ」


 ……なるほど、そういうことか。


 ルナがやったこと、その狙いを今になって理解した俺は、苦笑した。

 シンプルだけど、一度ハマってしまうと、なかなか抜け出せない苦い策だ。

 してやられた。


「二人目の人狼は……ニーナさまでございます」

「えへ」

「「「えぇ!?」」」


 ニーナは、えっへんと胸を張る。


「ふっふっふ……そう、我はあえてニーナを人狼と指摘したのだ!」

「な、なによそれ……下手したら仲間がやられていたじゃない」

「んなことしたら……あー、なるほどなー。だから賭け、なんか」


 ティナもルナの狙いに気づいたようだ。


「姉がサクラを、我がニーナを人狼と指摘した。結果、どちらかがバーサーカーであることが確定して……その指摘が嘘であると思い込ませることができた」


 そう。

 あの時、二人はサクラとニーナを人狼と指摘したのだけど……

 実のところ、どちらも人狼だったのだ。


 しかし、ルナはバーサーカー。

 ならば、その言葉は嘘。

 仲間を陥れるようなことはしないと、勝手にそう思い込んでしまい……


 結果、ルナが指摘したニーナを人狼候補から外してしまった。


 代わりにルナの正体はバレて、最終的に吊られてしまったものの……

 でも、ルナは己の役目を果たしていたのだ。

 自らを囮にして、虚言によってニーナを守る。


 まさにバーサーカー。


「レインが我の言葉の違和感に気づいてくれなかったら、ぶっちゃけ、やばかったのだ。下手をしたら我が魔法使いと思われて、ニーナが吊られていたかもしれないからな」

「でも、俺は気づいてしまった」

「うむ! その賭けに勝ったのなら、もう我らの勝ちなのだ。そう、これこそ計画通り! というヤツなのだ」


 ルナはドヤ顔で胸を張り。

 そして、悪の幹部のような高笑いを響かせた。


 それをサクラとニーナも真似をする。


「はーっはっはっは!」

「はっはっは?」

「教育に悪いから、その笑い声はやめとこなー」

「うむ、仕方ない。まあ、そんな感じで、我らの勝利なのだ!」


 ルナ達はにっこりと笑い、


「「「ぐぎぎぎ……!」」」


 ソラ達は、ものすごく悔しそうな表情に。

 ルナにしてやられたのが本当に悔しいのだろう。


「ふはははっ、姉よ。どうだ、悔しいだろう? 優秀な妹に負けた気分はどうだ? ん?」

「……」

「カナデやタニアは、もう少し、考えるということを覚えた方がいいのだ。腕力ばかりに頼っていたら、今回のようなことになってしまうのだ。脳筋というやつだな」

「「……」」

「他の皆も、もう少し我の知恵と美貌を見習うべきだな! まあ、なかなか難しいか。我の領域に達するには、皆、まだまだからな。うむ、精進するのだ」

「「「……」」」


 とことん調子に乗るルナ。

 対するみんなは、目を逆三角形に吊り上げていく。


「ニーナ、こっちへ」

「ほいほい、サクラとフィーニアもなー」


 俺とティナは、こっそりとニーナとサクラとフィーニアを家の外に出した。


 なぜか?

 この後の展開は確実に読むことができたからだ。


「まあ、皆もそこそこやるではないか。そこそこだがな! あぁ、悲しい。我の類まれなる才能と知恵を少しでも分けてあげることができたのならば!」

「「「調子に……」」」

「乗るにゃーーー!!!」

「あばばばばばっ!?」


 みんなの怒りが爆発して、ルナの悲鳴が響いて……


 うん。

 今日も平和だ。

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[良い点] なんか、レインの仲間は子供組と大人組に分かれるなあ・・。 でも、体格はまた分かれるからなあ・・。 私はティナが好みです。尽くしてくれる、たがいに支え合うのがフェイトとソフィアみたいな感じで…
[一言] はいルナにはソラの料理フルコースだー!! ルナ「ギョバアァァァァ!!!><」
[気になる点] ルナはドヤ顔で胸を張り。そして、悪の幹部のような高笑いを響かせた。 >> 「(女幹部ならタニアだったら似合うのとアレも凄く強調されるからいいけど・・ルナは、ぺたんこだからな(汗))」と…
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