132話 人狼ゲーム・その5
カナデVSタニア。
予想外の場外乱闘が発生したものの、初回、タニアが吊られることに。
果たして、その結果は……?
「……村は夜を迎えました。そして、翌朝。村からリファさまの姿が消えていました。人狼の仕業でしょう」
「ダメか……」
タニアは村人。
そして、人狼はリファを狙った。
初回は、人狼サイドにしてやられた、という感じだ。
でも、諦めたわけじゃない。
これで色々な情報が手に入った。
「二日目です。みなさま、推理を始めてください」
コハネは淡々とゲームの進行を務めている。
今度、コハネも一緒に、みんなで遊べるゲームがしたいな。
「ソラ、ルナ。今回は誰を占ったんだ?」
「ニーナを占ったのだ。結果……ニーナは、なんと、なんと! あぁ、恐ろしい結果に、我は恐怖を禁じえない。こんなことがあってよいのだろうか? 神よ、こんなことは……」
「早く言ってください」
「あいたっ」
ソラにげんこつを食らい、ルナは涙目になる。
「まったく、我が姉は恐ろしい。すぐに手が出る。時に足も出る。なあ、レインよ。乙女が足を出すというのは、はしたないと思わないか? 思うだろう? つまり、我が姉は乙女ではない! 乙女を超えた、なにか野蛮で邪悪で凶悪な……」
「もう一発、食らいたいですか?」
「ニーナは、人狼だったのだ!」
ソラの極上の笑みを受けて、ルナは慌てて言う。
「ふむ。ソラは?」
「サクラを占いました。結果、サクラは人狼でした」
「これは……」
「また……」
脱落したタニア達が驚いた様子で目を大きくした。
今度は、二人共人狼を言い当てた。
どちらかが本物の魔法使いで、もう片方は偽物のバーサーカー。
ただ、二人が人狼を言い当てたということは、片方は、間違いなく本物。
どちらが人狼で、どちらが村人だ?
ソラを見る。
いつもと変わらない落ち着いた表情だ。
ルナを見る。
不敵な笑みを浮かべている。
「ぜ、ぜんぜんわからないでしゅ……」
「二人共、いつも通りっすね」
「ならば、人狼側はどうでしょうか? ニーナさん、サクラさん」
イリスが鋭い目つきでニーナとサクラを見た。
「あなた方、どちらが人狼なのですか? 素直に答えていただけるのならば、とても良いことをしてさしあげますわ」
「いい……こと?」
「なんだ、それ」
「レインさまのふふふな秘密を教えてさしあげます」
「???」
「???」
ニーナとサクラは、揃って不思議そうに小首を傾げた。
一方で、カナデ達がそわそわとした様子を見せている。
この差はいったい……
「申しわけありません、レインさま。わたくしでは、犯人を見抜くことはできませんでしたわ」
「やり方に大きな問題があったような……いや、いいや」
イリスだから、なにを言っても無駄のような気がした。
ニーナかサクラ、どちらかが人狼。
あるいは、ソラとルナ。どちらかがバーサーカーで嘘を吐いている。
どこに目をつければいい?
そして、どうやって真実にたどり着けばいい?
「……ところで、冒険者は誰なんだ?」
「はい、私だよ!」
カナデがにっこりと挙手した。
尻尾がふりふりと揺れている。
「1ターン目は誰を守ったんだ?」
「レイン!」
「ふむ」
妥当な選択だ。
本来なら、魔法使いを守るべきなのだけど……
ソラとルナ、どちらか判明していないため、下手をしたらバーサーカーを守ってしまうことになる。
なれば、恋人のポジションにいる俺を守ったのだろう。
俺がやられたらイリスが後追いして、一気に二人も減ってしまうからだ。
「ニーナとサクラ、どちらが人狼か突き止めるよりも、ソラとルナ。どちらがバーサーカーなのか突き止めた方がよさそうだな。魔法使いの保護を優先しようと思うけど、どうだろう?」
「うん、いいんじゃないかな?」
「自分もそう思っていたところっす」
「お任せやでー」
よし。
ひとまずの方針は決まった。
その上で、どうやってバーサーカーを見抜けばいいだろうか?
その方法を考えて……
ふと気がついた。