1話 野球しようぜ!・その1
アニメ化記念に書いてみました。
レインやカナデ達の日常を書いた中編をまとめたものになります。
ひとまず30話くらいの予定。反響をいただければ書き続けるかもしれません。
「レインー! 野球しようー!」
とある日の午後。
家でのんびりしていると、バットを背中に担いで、グローブを右手にハメたカナデがやってきた。
よくよく見てみると、野球帽もかぶっていた。
似合う? 似合うよね?
というような感じでドヤ顔を決めている。
「いきなりどうしたんだ?」
「みんなで野球をしたいなー、って」
「なるほど。だから、その格好か」
「うん!」
「……」
「……」
「え、それだけ?」
「にゃん?」
どうやら深い意味はなくて、単純に遊びたいだけのようだ。
領主の問題が解決して、家も購入して……
落ち着いた日常を手に入れることができて、日々、のんびりと過ごしている。
それはそれでいいんだけど、最近は冒険をしていないから、ちょっと体が鈍っているかもしれない。
野球をするのもいいかもしれない。
「別にいいけど、人数が足りないぞ?」
俺、カナデ、タニア。
ソラ、ルナ、ニーナ、ティナ。
計七人なので、ワンチームにも届いていない。
おまけにティナは、昼間は人形の体に入らないといけないので、できるとしたら審判くらいだろう。
「3対3でいいんじゃないかな? 本格的な野球がしたいわけじゃなくて、みんなでわーって遊びたいだけだから」
「そういうことなら。あ、でも道具は?」
「ここにフルセットあるよ!」
みんなの分のバットにグローブ。
野球帽とユニフォーム。
さらにキャッチャーの装備も用意されていた。
いったい、どこで……?
というか、いつの間に……?
「じゃあ、やろうか」
「にゃっほー!」
カナデは両手をあげて、元気よくジャンプするのだった。
――――――――――
赤チーム。
俺、ソラ、ニーナ。
青チーム。
カナデ、タニア、ルナ。
審判。
ティナ。
……そんなメンバー構成となった。
「なんか、チームバランスが偏ってないか……?」
「ふっふっふ、そんなことはないのだ! チーム分けのくじに細工なんてしてないぞ?」
野球帽をしっかりとかぶったルナが、そう言う。
わりとやる気だった。
「そこは信じているけど、カナデとタニアが一緒になると手に負えない気がするんだけど」
猫霊族と竜族。
どちらも身体能力はトップクラスで、とんでもない活躍をしそうだ。
ただ、二人は……
「うにゃー……レインと一緒が良かったのに、どうしてこんなことに?」
「あたしだって、レインと一緒が良かったわよ……それなのに、どうしてノーコンキャットと一緒なのよ」
「響きはかっこいいと思ってしまった!?」
チームワークがとても怪しい。
付け入る隙があるとしたら、そこかな?
「……レイン」
くいくいっと、ニーナが俺の服を引っ張る。
「わたし……がんばる、ね」
「ああ、頼りにしているよ」
「ソラもがんばりますね」
「もちろん、ソラも頼りにしているよ」
二人の頭をぽんぽんと撫でた。
すると、ニーナとソラはうれしそうに頬を染める。
これくらいでやる気が出るのなら、いくらでも頭を撫でよう。
「「ぐむむむ……!!」」
カナデとタニアがものすごい目でこちらを見ていた。
視線でニーナとソラを射るような勢いだ。
「タニア、やるよ!」
「ええ、やってやるわ!」
「この鬱憤!」
「試合にぶつける!」
妙なところで意気投合して、気合を入れる二人だった。
いや。
ただの遊びなんだから、そんなに本気にならないで欲しいんだけど。
二人が本気になると、なんていうか、その……
色々な意味で大変なことになりそうだろう?
「みんなー、そろそろ準備はええか?」
審判を務めるティナが、そう声を響かせた。
ちなみに、きっちりと人形用のキャッチャー装備を身に着けている。
あんなもの、どこで用意したんだろう?
まさか、ガンツに製作を依頼したのだろうか……?
だとしたら、お金と技術の無駄遣いがすごい。
「ええか? 3対3の変則野球やから、外野は一人しかおらん。まあ、みんなの身体能力なら、それなりにうまく……やれるやろ」
「そこ、なんで我らを見て、一瞬言葉を詰まらせたのだ!?」
「ソラ達だって、やる時はやるのですよ?」
「9回もやってたら大変やし、時間もかかるからなー。3回、10点差でコールドってことにしとこ」
「「スルーされた!?」」
ソラとルナがショックを受けたような顔になるけど、ティナは構わずに説明を続ける。
ものすごいスルー力だ。
「塁は、一塁と二塁のみにしとこ。三角ベースやな。ホームランは、そこの丘を超えたら。スリーアウトやフォーボールとか、そこら辺のルールは同じや。ここまでで、なにか質問は?」
みんなが首を横に振り、ティナは説明を再開する。
「その他、基本的なルールは普通の野球と同じや。ただし、魔法や能力を使用はOKや」
「え?」
「なんでもありの野球やで!」
魔法や能力もアリとなると、とんでもないことになると思うんだけど……
とはいえ、そうしないとゲームとして成立しないか。
とにかく人数が足りない。
外野が圧倒的に不足している。
その穴を埋めるためには、魔法や能力の使用は不可欠だろう。
「ふむ」
だとしたら……
赤チームって、実はかなり優秀なのでは?
「ってなわけで……」
ティナが高らかと叫ぶ。
「第一回、最強種野球大乱闘バトル、開幕や!!!」
乱闘してどうする。
~作者からの大切なお願い~
「面白い!」
「続きが気になる!」
「更新がんばってほしい!」
少しでもそう思ってくれた読者の皆様。
広告下の評価ポイントを、
【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】
にして頂けると最高に嬉しいです! 率直な感想で、評価「☆☆☆☆☆」のどこでも押して頂けるとテンションがとても上がり、がんばろう! という気持ちになれます。
ブックマークも大歓迎です。
よろしくお願いいたします!
これからも、がんばっていきます!