9月14日 食いしん坊の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。食事量は並ぐらい。偏食や粗食に強い。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。食べるときは尋常じゃなく食べる。その分運動で消費する。
武たち 高橋の家に住み着く幽霊一家。3人+きゅうりの馬。いくらでも食べられるし、食べなくても平気。
ここはとある郊外のマンションの一室。
「…」(ペラッ)
「…」(ペラッ)
「…北斗の拳を読み返すたびに思うんだけどさ」
「はい」
「ラオウ倒した後の話がいつもうろ覚えになってるわ」
「あー、わかります。ぼくは定期的に読み直してるんでそうでもないっすけど、やっぱりラオウとの闘いまでが印象強いっすもんね」
「でもやっぱり面白いな。蒼天の拳もあるんだっけ?」
「ありますよ!たしかこっちに入れたはず…」
ピンポーン
「おっ、ピザが届いたかな?取りにいってくる。リビングで待っててくれ」
「お願いします!」
「お待たせ。でもほんとに奢ってもらってよかったのか?」
「もちろんっすよ!おじゃましてるのはこっちですし。なによりピザ食べたいって言ったのもぼくですし」
「そうか。それならありがたくご馳走になろう。なんでそんなにピザが食べたかったんだ?」
「ふふふ、よくぞ聞いてくれました!実はさっきこれを店長のおすすめコーナーから買ってきたんすよ!」
「これは…ピザカッターか」
「そうっす!店長お手製のピザカッターっす!」
「お手製って…金物まで作るようになったのか、あの人は…」
「もうほんとになんでも作れるっすよね。店長が居たんで話聞いたんすけど、最近練習してるって言ってました」
「何を目指してるんだか…でも宅配ピザってすでにカットされてないか?」
「はっ!…そうでした…せっかくピザ切丸を使おうと思ったのに…」
「すでに名前もつけたのか…うーん、そうだな、スーパーで買った冷蔵のピザあるけど、これ温めるか?」
「いいんすか⁉︎ぜひお願いします!」
「でもピザ3枚になるぞ…さすがに食べきれないか」
「任せてください!責任持って食べますので!」
「そ、そうか…じゃあ温めるかね」
「わーい!ピザ切丸の出番が楽しみっす!あ、ピザポテトも買ってきたんでこれも開けますね!」
「ピザばっかじゃねーか!ていうかまだ食べ物増やすのかよ。ほんとに食べきれるのか?」
「このくらい余裕っすよ!そして…これからがほんとうの地獄だ…」(サッ サッ)
「フライドチキンにフライドポテト…ドーナツまで…えっ、なに、他にも人来るんだっけ?」
「まあまあ!食欲の秋っすから!それに武さんたちもいますよ!」
バチン!
「いや、武さんたちが食べても物理的には減らないから…いつのまにか君は食いしん坊キャラになってるな。まあ今日はちょうど食いしん坊の日だけどさ」
「喰いしん坊!の日っすか?2日続けて漫画の日なんすね」
「いや、邪道喰いとかは関係なくて、一般的な食いしん坊の方。雑誌の『dancyu』を発行する株式会社プレジデント社が制定した記念日だ。日付は『914』から『くいし』んぼうの語呂合わせだな」
「なるほどー 具体的には何をする日なんすか?」
「食事を楽しみつつ、生産者や料理人への感謝を忘れない、真の食いしん坊のための日らしい」
「ふむふむ。それなら僕らも感謝の気持ちを込めて、残さず食べなきゃダメっすね」(サッ サッ)
「しれっとおにぎりとサンドイッチを足すな」
「大丈夫っす。サラダもあります」
「だから足すなっていってんだろ!」