6月18日 海外移住の日
ここはとある郊外のコンビニ。
「ぼく思うんすよ」
「何を?」
「日本はも欧米の文化の中でも優れたところをもっと取り入れるべきだと」
「予想外に真面目な内容だった」
「伝統文化を守ることももちろん重要っす。でも良いものを取り入れることもしないと成長は見込めないっすよ」
「ほう、具体的にはどんな文化を取り入れるべきだと思うんだ?」
「店員は座って客応対できるようにすべきっす」
「それ今座りたいだけだろ」
「だって〜ただ立ってるのきついっすもん!まだお客さん来てる方がマシっすよ」
「気持ちはわかるけどな。めちゃくちゃ時間経つのも遅く感じるし」
「くそー、日本めー」
「そんなことで国に文句言ってんの田中くんぐらいだと思うぞ。…いっそのこと海外に移住するのはどうだ?今日は海外移住の日だし」
「海外移住の日?」
「ああ。1908年に第1回ブラジル移民船の笠戸丸がサントス港に到着した日なんだ」
「ブラジル移民…ああ!セルジオ アキオ オオイワのおじいちゃんっすね!」
「また、懐かしいの出してきたな。ジンジャーエール飲みたくなるわ」
「でも移住ってなるとハードル高いっすね…その国の言語を勉強しなきゃですし」
「そういえば店長のおすすめコーナーで翻訳機って値札をチラッと見たな」
「マジっすか!そんなハイテクマシーンが…これ、バウリンガルじゃないっすか!」
「あっ、ほんとだ。実物は初めて見たわ」
「犬用じゃなくて人間用が欲しいっす…でも旅行ならまだしも移住でずっと翻訳機持って回るわけにもいかないっすよねぇ」
「それはそうだな。まずは語学留学とかワーキングホリデーとかやってみるのが現実的かな」
「うーん、でも外国で働くのは大変そうっす…どうせなら老後とかにしたいっす。ほら、余生を海外で、みたいなの流行ってるじゃないっすか」
「ああ、物価の安いところに行って優雅に暮らすってやつだな。マレーシアとか人気らしいな。でも元々バイト中座って接客したいってとこからきた話じゃないか。老後じゃ意味ないだろ」
「そうでした!うーん、じゃあアレしかないっすね」
「アレとは?」
「クーデターっす!日本を無理矢理変えてやるっす」
「アホか」