6月15日 オウムとインコの日
ここはとある郊外のコンビニ。
「ペットを飼いたいんすよ」
「どうした、急に」
「世の中世知辛いじゃないっすか。現代人は心と心のつながりが希薄になってますし。毎日都会の喧騒にもまれていると、癒しが欲しいなーって思うんすよ」
「ふーん」
「ふーんって…なんかそっけなくないっすか」
「どうせまた振られたんだろ」
「ギクッ、な、なんのことっすかねー、ひゅー、ひゅー」
「ごまかし方が下手すぎる…口笛も吹けてないし。つーかペット飼いたいって言いだすのこれで4回目だぞ。毎回理由は振られたからだったじゃねーか」
「そうでしたかね…フッ、自分、過去にはこだわらないんで」
「にしてもペース早すぎないか」
「恋の伝道師と呼んでください」
「伝道できてないんだが…」
「まあ、いいじゃないっすか。何かいいペット知らないっすか?」
「うーん、あ、店長のおすすめコーナーにたまごっちのパチモンが置いてあったぞ」
「せめて本物のたまごっちにしてくださいよ…」
「ぎゃおっPiだったかな。恐竜を育てるやつ」
「むしろ今はこっちの方がプレミアついてるんじゃないっすかね…じゃなくて、ぼくは実際の動物に癒されたいんすよ!」
「でも前も話して難しいって結論にならなかったっけ?犬や猫はダメなんだろ?」
「犬は定期的な散歩がハードル高いっす。猫はうちの親が猫アレルギーなんで」
「ハムスターは?」
「ネズミはちょっと…」
「熱帯魚」
「温かみがないじゃないっすか。ふれあいも難しいし」
「蛇」
「論外っす」
「もう無理だ、あきらめろ」
「そんなこと言わないで~、見捨てないでくださいよ~」
「といってもなぁ…そうだ、オウムとかインコとかはどうだ?今日はちょうどオウムとインコの日だし」
「オウムとインコの日?」
「ああ、語呂合わせでな。『06』で『オウム』、『15』で『インコ』だ」
「オウムとインコかぁ。インコを飼ってるって話は聞きますけど、オウムって飼えるんすか?」
「人気あるらしいぞ。人の言葉をマネしたりするし。それこそオウム返しだな」
「たしかにテレビとかで見たことあるような」
「飼うのは大変みたいだけどな。大きいし鳴き声がうるさいしめっちゃ長生きするし」
「えっ、どのくらい生きるんすか?」
「種類によるけど50年ぐらい生きるらしいぞ」
「マジっすか!ぼく一代じゃ飼いきれないかもしれないっすね…インコはありかもしれないっす」
「小学生の頃同級生が飼ってたけど、めっちゃ人懐っこかったぞ。そして動作がいちいち可愛い」
「最高じゃないっすか!早速明日ペットショップいってみるっす!」
「いいけどちゃんと世話できるんだろうな?」
「で、できますよ…」
「なぜ目を逸らす。というか犬の却下理由が毎日の散歩って時点でかなり怪しいと思うが?」
「だ、大丈夫っすよ!」
「そういや観葉植物を3回ぐらい買って全部ダメにしてなかったか?」
「うぅ…」
「…生き物は諦めてぎゃおっP iにしとけ」
「せめてたまごっちにしてください…」