6月12日 バザー記念日 恋人の日
ここはとある郊外のコンビニ。今日も今日とて客はいない。
「高橋さん、今日は何の日っすか?」
「どうした?藪から棒に」
「お客さんもいなくて暇だから、高橋さんのうんちくを聞いてあげるっすよ。さあ、好きなだけ話してください。」
「君、大概失礼だな…別にそこまでして聞いてもらわなくていいわ」
「そんなこといってほんとは話したいんでしょう~ ほらほら」
「むかつくから絶対話してやらん」
「ちぇー」
「…」
「…」
「…」
「…あの、申し訳ありませんでした。何かお話を聞かせてください。退屈で死にそうなんです」
「そ、そんなしっかりした敬語になるほどか。退屈に弱すぎるだろ…お前はウサギかよ」
「あ、いえ、人間っす」
「知ってるわ!…まあいいや。6月12日は…そうだな…あー、バザー記念日だな」
「バザーってあのみんなでもの持ち寄って売るやつっすか?」
「そう、そのバザー。1884年に日本で初めてバザーが行われたそうだ」
「へー。そういえば町内会でもバザーやってるっすよね。子供のころ参加した記憶があるっす」
「うちの親は今でも参加してるよ。たまに掘り出し物があるらしい」
「今度参加してみようかなぁ。どんなものを持っていけばいいんすかね?」
「不用品を持ち寄るってことにはなってるけど、手作りの品ってのもよく聞くな」
「あー、友達の家が編みぐるみとか持ち寄ってたっす。さすがに自分では作れないっすけど…」
「ボトルシップとかどうだ?店長のおすすめコーナーに制作キットがあったぞ」
「コンビニで売るものじゃないっすよね、それ…」
「でも手作り品とかあまりに高価なものは値段つけるのに困るらしいぞ」
「なるほど。とりあえず家で何かないか探してみるっす」
「それがいい。次は秋ごろに開催じゃなかったかな」
「調べてみます!そういえば高橋さん、バザー記念日って言う前かなり言い渋ってませんでした?」
「(ギクッ)あ、あー、そうだったかな…」
「なんかあるんすか?ねえねえ、ねえねえ!」
「うるせぇ!まあ、あのあれだ。記念日ってひとつだけじゃないからな」
「6月12日は他の記念日でもあるってことですか?なんの日っすか?」
「えーっと、その…恋人の日…です」
「あー、高橋さんには縁のない記念日っすね。これは辛いことを言わせてしまったっす。申し訳ないっす」
「そういうと思ったから言いたくなかったんだよ!君いつか俺から刺されるぞ」
高橋さんは彼女いない歴=年齢です