4月4日 幸せの日 4℃の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。田中と過ごすのが最近の幸せ。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。高橋と過ごすのが最近の幸せ。
ここはとある郊外のコンビニ。
「ありがとうございました!またお越し下さいませ!」
「ありがとうございましたー」
「よし!俺、飲料の品出しに行ってくるわ!レジよろしく!」
「それはいいんすけど…高橋さん、何かいいことありました?」
「えっ?なんで?特に何もないけど」
「なんかいつもより元気な感じがしてですね…特別な記念日があるとか?」
「うーん、たしかに4月4日はいろんな記念日があるが…あっ、幸せの日ってのがあるな」
「幸せの日?」
「3月3日が桃の節句、つまり女の子の日で、5月5日が端午の節句、男の子の日だろ?その間ってことで全ての子供の幸せを願う日って言われてるんだ」
「なるほど、その影響で高橋さんも幸せになったというわけですか」
「いや、そこまで単純ではないぞ」
「いや割と記念日に引っ張られてると思いますけど…」
「そうか?…そうかもな…」
「じゃあ他に何か思い当たることがあります?」
「うーん…そういや4℃の日でもあるな」
「4℃って、あのジュエリーブランドのっすか?」
「そうそう。4が重なる日ってことで記念日に制定したらしい」
「あれってなんで4℃って名前なんすかね?」
「4℃ってのが氷が張った水の底の温度を表してて、魚が唯一生息できる『安息の場』であり、きびしい環境の中での潤いを意味してるらしい。そんな生活に潤いを与える存在に、って理念が込められてるそうだ」
「はー、なるほど」
「…そういえば田中くんにアクセサリーとか指輪とかの身につけるものって贈ったことがなかったな…今度買いに行かないか?」
「えっ、ど、どうしたんすか、急に?別に誕生日とかでもないですし、悪いですよ」
「まあ思い立ったが吉日っていうし。それに俺がプレゼントしたものを身につけてて欲しいって気持ちもある。…駄目かな?」
「い、いえ!嬉しいっす///…で、でも高橋さん、やっぱりいつもと様子が違うっすよ!なんかテンションが高いというか…」
「そうかも…むしろ体の調子は良く感じるんだが…あっ」
「…!高橋さん!すぐに熱を計って下さい!」※10月23日参照
「そうするわ」
「お待たせ」
「いえ。何度でした?」
「40℃ジャストだった」
「はぁ⁉︎」
「4℃の日だからかな?」
「いや、10倍ですから…とか言ってる場合じゃないっすよ!今すぐ帰って休んで下さい!」
「ああ、そうするわ。店長にも連絡して、すぐに来てくれるって」
「いやこっちのことはいいっすから…早く帰る準備してください。ポカリとか買っておきますから」
「ごめん、ありがとう。まあ家にこの前店長のおすすめコーナーで買った店長特製生姜湯ジエンドがあるから、それ飲んでゆっくりしておくわ」
「…そんな名前にまでなったんすね…」
「元気になりすぎるかもな、ははは。裏で着替えてくるわ」
「どうぞどうぞ。…でもほんとに熱に気がつかないんだ…キツくないのかな?」
ウィーン ピンポーン
「あっ、いらっしゃいま…せ…」
…この後のことは細切れにしか覚えていない。
包丁を持った男
強盗
恐怖で震える体
裏から飛び出してきた高橋さん
そして…
高橋さんが刺された
その日高橋さんは家には帰れなかった
番外編にボツ案を投稿します。