3月26日 食品サンプルの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きな食品サンプルはオムライス。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きな食品サンプルはナポリタン。
ここはとある郊外のマンションの一室。
「はー、遊園地楽しかったっすねぇ〜」
「そうだね。はい、お茶」
「ありがとうございます!はー、落ち着くー。なんだかんだ我が家が一番っすね!」
「勝手に我が家にするんじゃない。えーとお茶菓子は、と。あれ?この前店長のおすすめコーナーで買った面白い恋人をここに置いておいたんだけどな?」
「あー…」
「…何か知ってるのか?」
「まあ知ってるといえば知ってるといいますか…」
「…」(ジー)
「申し訳ありません、ぼくが食べました。すみませんでした」(土下座)
「…はぁ。まあいいけどさ。うーん…じゃあ今日お土産に買ってきたクッキーを代わりに出すかな」
「い、いやそれは悪いっすよ!なんだったらぼくがこれから買ってきますし」
「いや別にいいよ。よく考えたら渡す友達いなかったわ」
「それはそれで悲しいんすけど…高橋さんってまだぼっちなんすか?」
「まあな。でも脱却のために人付き合いはよくするようにしてるぞ。研究室の人たちとご飯行ったり、雑談したり」
「頑張ってるんすねぇ。あの『ぼっちの代名詞』を自称してた高橋さんが…ううう、ぼくは本当に嬉しいっす!」
「自称してたことはないが…」
「きっかけってなんでしたっけ?貴子さんに怒られたんでしたっけ?」※1月2日参照
「そうそう。田中くんにも迷惑がかかるって言われてな」
「…?なんでぼくに?」
「あっ…あーそのー…田中くんのことが好きだっていうのを相談したときにさ、『仮に付き合えたとして恋人がぼっちだとあの子が可哀想でしょ!』と言われてしまって…」
「あっ…そ、そうすか…///」
「ははは…///」
「…///」
「そ、そうだ!この前研究室の人たちと昼ごはん食べに行ったところが良さげな店だったんだよ!えーと、ほらこれが写真」
「そ、そうなんすか!へー、レトロな感じの洋食屋さんっすねー…⁉︎こ、これは⁉︎」
「立派だよな、この食品サンプル。こういうの好きじゃないっけ?」
「大好きっす!このフォークが浮いてるスパゲッティのやつとか最高っすよね!このお店って近くにあるんすか?ぜひ行ってみたいっす!」
「そんなに遠くないよ。明日にでも行ってみるか」
「ぜひぜひ!いやーでもいいっすね!見てるだけでお腹が空いてきますよね!」
「そうだな。ちなみに今日は食品サンプルの日だったりする」
「ほうほう」
「食品サンプルのパイオニアとして知られるいわさきグループの3社が制定した日で、その魅力をもっと多くの人に知ってもらうのが目的だそうだ。日付は『326』の語呂合わせからだね」
「へぇー。でもやっぱり最近店先に飾ってある店って減ってません?子供の頃はもっとあって、よく食べようとして母に怒られてた思い出があるんすけど」
「そりゃ怒られるわ…たしかに減ったような気がする。あ、でも制作体験とかできるって見たような気がするな」
「マジっすか⁉︎この近くにもありますかね?」
「調べてみるかね。できるならやってみるかい?」
「やりたいっす!よーし、今度こそ味わうチャンスっすね!」
「いや、だから食べるなよ…」