3月18日 点字ブロックの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。平行線のブロックの方が好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。点状のブロックの方が好き。
ここはとある郊外のコンビニ。
ウィーン ピンポーン
「ありがとうございました。…ふぅ」
「た、高橋さん…今、手話使ってなかったっすか⁉︎もしかして手話できるんすか?」
「ああ。簡単な会話だけだけどな」
「マジっすか⁉︎すごいっす!どこで課金すればスキル取得できるんすか?」
「いや、ソシャゲじゃないんだから…ここのバイト始めたときに店長から覚えさせられたんだよ。コンビニ店員には必須スキルだからって」
「えっ、ぼく言われてないんすけど…」
「つーか言われたの俺だけみたいだな。店長は昔から俺に無茶振りしてくるんだよ…」
「ま、まあそれだけ高橋さんに期待してるってことじゃないっすかね!」
「いや、『楽しいから』っていってたな…まあ手話は意外と使うことが多いから助かってるけど」
「でもほんとにすごいっすねー どうやって勉強したんすか?」
「前に店長のおすすめコーナーに店長が書いた手話入門本があったんだよ。それで勉強した」
「えっ、もしかしてそれ買わされたんすか…?」
「いや、さすがにくれたよ。2冊セットで」
「2冊セット?」
「ああ。『日常会話編』と『舞踏会での会話編』の2冊だ」
「なんでそんなニッチな内容のものがあるんすかね…でも店長は本を書けるぐらい手話に詳しいんすね」
「ああ。かなり勉強したらしい。店長はバリアフリーガチ勢だからな」
「初めて聞く言葉っすね…でもたしかにこの店の中も段差が全くないっすよね」
「それに棚と棚の間がかなり広めになってるんだよ。車椅子でも通りやすいようにな」
「あ、言われてみればたしかに広々としてますね」
「…ふと思い出したけど、今日は点字ブロックの日なんだけどさ」
「点字ブロック?あの歩道に敷いてあるやつっすか?」
「そうそう。いつだったか店長にそのことを教えたら、店内に設置しようとしたことがあったな」
「う、うーん…便利…なんすかね?」
「安全に歩ける効果はあるだろうけどさ、買い物もあるんだから俺ら店員がサポートする方が早いだろってことで立ち消えになった」
「まあそれはそうっすね。ところでなんで今日が点字ブロックの日なんすか?」
「1967年のこの日、点字ブロックが岡山市の岡山盲学校の近くの交差点に世界で初めて設置されたそうだ。その日を記念して社会福祉法人・岡山県視覚障害者協会が制定したらしい」
「えっ、あれって日本で作られたんすね!知らなかったっす」
「安全交通試験研究センターってとこで開発されたそうだ。でもあれも躓きやすいとか車椅子だと通りにくいとか欠点もあるからな。素晴らしい発想ではあるんだけど」
「あーたしかに。店内に設置したらなおさらそうかもしれないっすね」
「あと掃除が大変そうだから、ほんとに設置されなくてよかった…」
「あー…で、でもバリアフリーを推進するのはいいことっすよね!ぼくも手話を覚えようかな」
「それなら入門書貸すよ?まだうちにあったはず」
「ぜひお願いします!あ、じゃあ早速何か手話を教えて下さいよ!暇ですし!」
「いいぞ。じゃあこうして…こう」
「えーと、こうっすか?」
「そうそう」
「ふっ、早速一つ手話をマスターしてしまいましたね!ちなみになんて意味ですか?」
「えっと、『私と踊っていただけませんか?』だね」
「なんで『舞踏会での会話編』からチョイスしてくるんすか⁉︎」
連休も仕事のため不定期投稿になると思います。申し訳ありません…