3月9日 感謝の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。感謝したいものはヒートテック。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。感謝したいものは味の素。
田中太郎 田中の兄。高校時代は4番キャッチャー。
ここはとある郊外のコンビニ。
「あ、そういえばこれ、太郎くんに渡しておいてくれないか?」
「なんすかこれ?お菓子の詰め合わせ?」
「ああ、誕生日プレゼントだよ。今日、太郎くんの誕生日だろ?」
「言われてみればそうでしたね。…えっ、なんで知ってるんすか…?」
「この前飲みに行ったときに聞いたんだよ。それをふと思い出してな」
「誕生日を聞くことってそんなにありますかね…?まさかうちの兄がプレゼントを要求したんじゃ…」
「違う違う。俺が記念日に詳しいって話の流れで、自分の誕生日がなんの記念日なのか教えてほしいって言われたんだよ」
「あっ、なるほど。でもわざわざすみません。兄に代わってぼくが食べてお礼を言いますね」
「いや、食べるなよ…君の分は別に買ってあるからそっちはちゃんと渡してくれ」
「えっ!ぼくの分もあるんすか⁉︎さっすが高橋さん!よっ!あんたが対象!」
「…漢字間違ってないか?…まあいいや。はい、こっちが田中くんのね」
「ありがとうございます!兄の分はちゃんと半分は渡すようにしますので!」
「いや全部渡せよ。田中くんのうちでは兄妹、姉妹の間では誕生日プレゼント渡したりってしないの?」
「あー…姉には渡しますよ…」
「…太郎くんには?」
「えっと…ほ、ほら!いつもぼくが面倒見てあげてるみたいなもんっすからね!むしろぼくが貰いたいくらいっすよ!」
「そんなものかねぇ。なんだかんだ妹思いのいいお兄ちゃんってイメージなんだけどな」
「いやもうぜんっぜん違いますね!…そりゃまあときどきは頼りになりますけど…ご、ごく稀にですよ!」
「少しでもそう思うところがあれば、何か渡してみてもいいんじゃない?今日はちょうど感謝の日だし」
「感謝の日…あっ、『3 9』だからっすか?」
「そうそう。今までの人生でめぐりあったものに思いを寄せる日として、愛媛県の横山重子さんが制定したらしい」
「へー、ステキな日っすね。その方はどんな人なんすか?」
「実はよくわからないんだよ。同姓同名の看護師さんはいるみたいなんだけど、同一人物かの情報は出てこないし」
「制定した人の名前だけしかわからないってことっすか…?そんなことあります?」
「ちゃんと日本記念日協会認定の記念日なんだけどな…まあでも内容は素晴らしい日だしさ」
「それはそうっすけど…」
「まあよしとしようよ。それよりどう?太郎くんへプレゼント。贈ってみたら?」
「うーん…まあ年に一回ぐらいそんな日があってもいいかもしれないっすね」
「そうか!よし、じゃあ何にするか考えるかね!とりあえず店長のおすすめコーナーにはプレゼント用の音叉が置いてあるけど」
「音叉をプレゼントすることってあります…?誰をターゲットにした商品なんすかね…」
「たしかに日常生活で使うことないな…何か考えてるものある?」
「そうっすね。ぼくの得意なことを活かそうかと思ってますよ」
「おっ、料理とかか?」
「いえ、感謝の正拳突きっす」
「それ感謝伝わるかな…」
投稿が遅くなり大変申し訳ございません。