2月21日 漱石の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。夏目漱石といえばこころ。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。夏目漱石といえば吾輩は猫である。
武たち 高橋の家に住み着く幽霊一家。3人+きゅうりの馬。
ここはとある郊外のコンビニ。
「それでその友達のお兄さんがなんとあのマグマゆうたろうだったんすよ!」
「えっ、あの大人気ボディビルダーの?すごいな、それは」
「そうなんすよ!もうほんとにエビフライのしっぽに感謝っすね!」
「それと般若心経にもだな。いやー、そんなことあるんだなぁ」
「ぼくもびっくりっす!あ、でもその子のお兄さんがマグマゆうたろうなのは内緒にしておいてほしいって言われました。有名人はいろいろ大変らしくて」
「…じゃあこの話、俺にしたらまずかったんじゃ…」
「あっ…ほ、ほら!高橋さんは特別な存在っすから!」
「…ちゃんと内緒にしておいてやれよ。俺も誰にも話さないようにするから」
「面目ないっす…でもこんな身近に有名人がいたのにびっくりしました」
「身近な有名人か…俺が知ってるのは店長くらいかな」
「店長って有名人なんすか?…あ、そういえば有名なインスタグラマーでしたね…」
「それもあるけど、一部の界隈では知らない人はいないぐらいの人らしいぞ。武さんも貴子さんも知ってたし」
「かなり不穏な界隈っすね…」
「前に強い要望があって店長のおすすめコーナーで店長直筆のサイン色紙が販売されたことがあるくらいだし」
「大人気人物じゃないっすか⁉︎それってどれくらい売れたんすか?」
「100枚準備して3分で売り切れたんじゃなかったかな」
「…は?…えっ、店長ってほんとに何者なんすか?」
「さあ…?でもすごいよなー」
「そんな軽いもんじゃないと思うんすけど…」
「まあ気にしてもしょうがないさ。田中くんは有名人っていうかインフルエンサーになりたいんだっけ?」
「そうっすね!毎日努力してますよ!現在のわたしは烈海王にだって勝てる‼︎」
「どういう方向性の努力をしてるんだよ…」
「高橋さんは有名人になりたいとかないんすか?」
「うーん、あんまりないかな。でも夏目漱石みたいに自分の名前が記念日になってるのは、少し憧れるな」
「へー、そんな記念日があるんすか。夏目漱石の日ってことっすか?」
「いや、漱石の日。ちょうど今日がそうだな。1911年のこの日に文部省が漱石に文学博士の称号を贈ることを伝えたらしい」
「なるほど、夏目漱石が博士になった日ってことっすね」
「いや、それに対して『自分には肩書きは必要ない』って辞退したそうだ」
「はー、なるほど。なんか勝手なイメージっすけど、文豪っぽいエピソードな感じがします」
「それこそ後々記念日の由来になるような話だからな。夏目漱石の人となりをあらわす出来事なのかもな」
「よし!じゃあ高橋さんもその日が記念日になるような伝説を作りましょう!」
「そんな伝説なんて簡単に作れるものじゃないだろ。どんなことをすればいいのかもわからんし」
「そうっすね…高橋さんといえば記念日っすから…そうだ!コーラを一気飲みして、ゲップをせずに全ての記念日を言うってのはどうっすか?」
「もろパクリじゃねーか…」