2月13日 日本遺産の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きな日本遺産は忍びの里 伊賀・甲賀。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。日本遺産は初めて聞いた。
旅行2日目です。
ここは新幹線の中。
「ま、間に合った〜」
「ふー、一時はどうなることかと思ったな。最終だから乗れなかったらどうにもならないし」
「ちょっとのんびりし過ぎましたね…」
「まあギリギリまで楽しんだと思えば悪くないさ。ほら、棚にあげる荷物をもらおう」
「あ、ありがとうございます!これとこれをお願いします」
「了解。よっ、と。しかしお土産だいぶ買い込んだね」
「友達に配るのを買ってたらこんな量に…はっ!すみません、今の発言はぼっちの高橋さんに配慮してませんでしたね…謝罪します」
「その謝罪は逆に心にくるからやめて…」
「高橋さんもお土産買ってましたよね?誰に買ったんすか?」
「えーと、実家と武さんたちと研究室、あとバイト先かな」
「…はっ!しまった、バイト先のお土産買ってないっす…しょうがない、自分用に買ったのを一つ回しますか…」
「別に俺が買ったし、それだけでもいいと思うけど」
「そういうわけにもいかないっす!それに買ったお土産の半分は自分用なんでなんとかなりますよ」
「買い過ぎだろ…まあいいんだけどさ」
「そういえば高橋さん、丹後ちりめんのお店で生地を買ってませんでした?あれはなんに使うんです?」
「ああ、あれは店長に頼まれたんだよ。この前店長のおすすめコーナーで店長の仕立てた着物が売ってあっただろ?」
「あー、ありましたね」
「あの後、布から自作したいって思ったらしくてな。その参考にするために買ってきてくれって言われたんだ」
「店長はどこに向かってるんすかね…でも店長が布から作った服ってなんか不思議な効果とかありそうじゃないっすか?」
「ははは、そうかもな。ちなみにこの前の着物の布は既製品だけど、追加で特殊な加工をしてるらしいぞ。えーとたしか防水、防火、防刃そして放射線を防ぐ機能があったはず」
「戦場で使う想定でもしてるんすかね…」
「普段使い用って言ってたけどな。おっ、車内販売だ。すみません、チップスターください」
「好きっすねぇ、チップスター。行きも買ってませんでした?」
「なんか食べたくなるんだよな、新幹線の中って。田中くんも食べる?」
「いただきます!でも、楽しい旅行でしたねー」
「ああ。めちゃくちゃ楽しかったよ。ありがとう、一緒に来てくれて」
「いえいえ!こちらこそありがとうございました!…あの、ちょっと聞いておきたいんすけど、もしかして昨日か今日に天橋立に関する記念日があったりします?」
「天橋立に関する記念日?そうだな…あっ、今日が日本遺産の日って記念日だ」
「日本遺産?」
「文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを日本遺産ってのに認定するんだけど、その中に天橋立とかちりめん街道あたりを題材にしたものがあったはず」
「そうっすか…まあ、そうっすよね…」
「うん?どうかした?」
「いえなんでも…ちょっと疲れちゃったんで寝ますね…」
「ああ、着いたら起こすよ。しかし日本遺産の日か。すっかり忘れてたな」
「…えっ?それがあったから今回の旅行を企画したんじゃないんすか?」
「そんなわけないさ。君と旅行に行きたかったから企画したに決まってるだろ」
「え、あ、そ、そうすか…///…えへへ…///…うん!ぼくも高橋さんと来れてほんとによかったっす!」
「そう言ってもらえると嬉しいねぇ。じゃあゆっくりおやすみ」
「おやすみなさい!…zzz」
「寝付きいいなぁ…さて、家に着く頃には日付が変わってそうだな。…14日か」
明日に続きます。