2月12日 ブラジャーの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。ブラジャーはつけたことがある。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。ブラジャーはたまにつけ忘れる。
ここは京都のとあるビジネスホテル。
2時間前
コンコン
『ん?(ガチャ) 田中くん、どうかしたの?』
『高橋さん!せっかくの京都の夜なんすよ!宴会しましょ!お酒とか買ってきたんで!』
『いや、明日も朝早いんだぞ…早めに寝なさいよ…』
『そんな殺生な⁉︎一泊二日だから京都で過ごす夜は今日だけなんすよ⁉︎ちょっとだけでもいいっすから!』
『うーん…まあそれもそうか。あんまり飲み過ぎないようにな』
『やったー!もちろんわかってますよ!ぼくもいい大人なんすから!』
『不安だ…』
そして現在…
「えへへ、たかはしさ〜ん のんでますか〜?」
「どうしてこうなった…いや、なるべくしてなったと言うべきか…」
「なんすか〜⁉︎ぼくのさけがのめないっていうんすか〜⁉︎ほらほら、のんでくださいよ〜」
「醤油を飲ませようとしてくるんじゃねぇ!なんでそんなの買ってあるんだ…」
「あ、そうだ、これみてくださいよ〜 きょう、あまのはしだてにいったんすよ〜 ほら、ほら」
「…見せるつもりがあるならスマホを顔に押し付けてくるのやめろ。つーか、知ってるわ!一緒に行っただろうが!」
「あはは、そうでしたっけ〜?…あ〜、ねむくなってきたっす…」
「自分の部屋に帰って寝ろ。明日も早いんだから」
「え〜、めんどくさ〜い。というよりなんでべつへつのへやにしたんすか〜?いっしょのへやがよかったのに〜」
「そんなわけにはいかんだろ。ほら、部屋まで連れて行ってやるから」
「うー、いやっす!たかはしさんのきねんびうんちくをきくまで、ぼくはここをすこししかうごかないっす!」
「少しは動くのか…」
「ねがえりうったりするんで」
「ここで寝る気満々じゃねーか!…はぁ、しょうがない。記念日の話な。今日は…ブラジャーの日だな」
「あ〜、たかはしさんがだいすきな」
「人聞きの悪いこというな。1913年のこの日、アメリカ人のマリー・フェルブ・ジャコブさんが、ブラジャーの原型となるものの特許を取得したことに由来してる。最初はハンカチをリボンで結んだだけの簡易的なものだったらしいけど」
「へー」
「元々はワコールが制定したんだけど、今は日本ボディファッション協会ってとこがいろんなキャンペーンなんかをやってるそうだ」
「なるほど!いいはなしだったっす!おれいにぼくのぶらじゃーをみせてあげましょう!」
「支離滅裂すぎるだろ…そんなのいいから早く自分の部屋に帰れ」
「あ、そういやいま、のーぶらでした」
「…はぁ⁉︎え、いや、おま…」
「あははは!じょうだんっすよ、じょうだん!」
「お前な…マジでそういうのやめてくれ…しょうがない、これを使うか」
「?なんすかそれ?へんなくすりっすか?」
「変な薬といえばそうかもしれんな。店長のおすすめコーナーで買った店長特製酔い覚ましの薬だよ。いつか使うかもと思って持ち歩いてるんだ。これを水に溶かして、と。はい飲んで」
「こんなのでぼくのよいはさませないっすよ!ごくごく」
「まあ気休め程度にでも効けばいいけど…明日二日酔いで動けないとかなったら洒落にならないし」
「…」
「ん?どうした?」
「あ、いえ、完全に酔いが覚めまして…///」
「マジか…すごい効き目だな…顔が赤いぞ?」
「へっ⁉︎いや、その…///す、すみません!ご迷惑お掛けしました!すぐ帰ります!また、明日‼︎」(ガチャ! バタン!)
「…もしかしてこの薬、酔ってたときの記憶も保持されるのか…?」
店長特製の薬 成分的には『食品』にあたる。効果は絶大。