2月10日 豚丼の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。豚丼はしばしば食べる。牛丼より好きかもしれない。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。豚丼はたまに食べる。一緒に牛丼も食べる。
ここはとある郊外のコンビニ。
「おっ、店長のおすすめコーナーに簡単豚汁セットがあるな。夜勤明けに買って帰ろう」
「なんすかそれ?」
「豚汁の具材がすでに下拵えされた状態で入ってるセットだよ。あとは出汁と味噌があればすぐに豚汁が作れるんだ」
「へー、便利っすねー …これは『とんじる』セットっすよね?」
「ああ、そうだけど…何かおかしなとこがあったか?」
「いえいえ、何もおかしくないんすけど…友達に豚汁を『ぶたじる』って読む子が何人かいるんすよ」
「あー、そう読む人もいるな。聞いたことあるわ」
「それで『とんじる』と『ぶたじる』、どっちが正式かディベートをしたんすけど、負けてしまってですね…」
「ほう。どんな内容だったんだ?」
「えーと、あっちの主張はですね、『汁』を『しる』と訓読みするのなら『豚』も訓読みするのが正しい、ってのでした」
「ふむふむ。筋は通ってる気がするな。田中くんの主張は?」
「『ぶたじる』は『ブラジル』と聞き間違えやすいからやめた方がいい、ってのなんですけど…」
「そりゃ負けるわ…なんでそれで勝てるとおもったんだよ…」
「他の友達にも言われましたね…まあ『そういうところが可愛い』って褒められましたけどね」(フフン)
「なんで得意げなんだ…そういや今日は豚丼の日なんだけどさ、丼の方は『とんどん』っていう人はほとんど聞かないよな。同じ理屈だと『ぶたじる』になるのかも」
「うーん…てことは『ぶたじる』が正式なんすかね?」
「いや『とんじる』が間違ってるとは思わないけどな」
「じゃあ我々『ぶたじる』派を納得させるような理由を言ってみてくださいよ!」
「いつの間に寝返ったんだ、君は。そうだな…音読み訓読みに関して言えば、牛丼とかも音読み+訓読みになってるから、それだけで正しくないとは言えないと思う、とか」
「…はっ⁉︎ほんとだ…」
「あとはとんかつとかトンテキとか、他の豚肉を使った料理では『豚』を『とん』って読むものも多いし、『とんじる』って読んでもいいんじゃないかな」
「なるほど!これなら我々『とんじる』派の勝利っすね!」
「また戻ってきた…というよりどっちも正しいんだろ。地域差もあるみたいだけど。北海道とか九州では『ぶたじる』派が多いって聞いたことあるぞ」
「そういえばたしかに友達も北海道出身でした」
「ちなみに豚丼の日は北海道を拠点に豚丼や焼肉、ジンギスカンのタレとかを販売してる株式会社ソラチって会社が制定した記念日だ」
「あっ、もしかして豚丼に馴染みが深いから豚汁って読む人が多いとか?」
「おっ、新しい視点だな。もしかしたらそうかもね」
「どうっすか、ぼくの推理力は!ぼくに解けない謎はないっすよ!」
「わかりやすく調子に乗るな、君は…じゃあ九州でも『ぶたじる』派が多い理由も考えてくれよ」
「九州はっすね〜 うーん…えーと…ブ、ブラジルに近いからっすかね…」
「ブラジルから離れろ」
連日遅くなり大変申し訳ありません…連休中は0時更新を目指します…