2月6日 抹茶の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。宇治金時が好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。抹茶アイスが好き。
ここはとある郊外のコンビニ。
「カッコいい趣味が欲しいっす」
「カッコいい趣味?たとえばどんなのだ?」
「たとえばっすね〜 あっ、例を挙げる前に高橋さんの趣味はなんすか?記念日以外で」
「記念日も別に趣味ではないが…そうだな…読書かな」
「あー、読書っすか。読書はいい趣味なんすけど、カッコ良さとしてはノーマルっすね。遊戯王カードでいうとマンモスの墓場ぐらいっす」
「懐かしいなその名前。じゃあ田中くんの考えるカッコいい趣味ってのは?」
「たとえば乗馬とかっすかね」
「なるほど、なんとなくわかるわ。『乗馬が趣味』って聞くといいとこのおぼっちゃまかお嬢様かって感じがするもんな」
「でしょ!そんな感じで趣味を言うだけで家柄の良さが滲み出て、マウントが取れるようになりたいんすよ!」
「その発想は家柄が良くなさそうだけどな…でもいきなり乗馬はハードル高くないか?」
「そうなんすよ…何か他にいいのがないっすかね?」
「うーん…華道とかはどうだ?『お花が趣味です』ってのもお嬢様っぽいぞ。それに今日は店長のおすすめコーナーに店長特製の剣山が売ってあったし」
「剣山ってどうやって作ったんすかね…でも華道はちょっと…ぼく、花より男子派なんで」
「漫画のタイトルになってんじゃねーか。それ以外だと…茶道とかかな」
「茶道っすか〜 ぼく抹茶より紅茶派なんすよね〜」
「嗜好の問題ではないと思うが…そういや今日は抹茶の日だったな」
「抹茶の日っすか。なんで今日なんすかね?シーズンってわけでもないっすよね?」
「茶道のときに使う道具に『風炉』ってものがあるんだ。中に火を入れて釜を掛けるものなんだけど、そこからの語呂合わせで2月6日になったらしい。抹茶の生産地として名高い愛知県西尾市の西尾茶協同組合が制定した記念日だ」
「ふむふむ。でも茶道っすか…なんかこうしきたりとか作法とかがあるんすよね?お菓子食べてお茶を飲むのは大得意なんすけど」
「ただの食いしん坊じゃねーか。作法も流派によって少しずつ違うらしいしな」
「なるほど。道明寺司派か花沢類派かみたいなことっすね」
「花より男子から離れろ」
「高橋さんは茶道の作法に詳しかったりしないんすか?」
「さすがにわからないな…店長の奥さんはよくお茶会に参加するって言ってた気がする」
「ふむ。今度教えてもらえないか頼んでみますかね。あれっすよね?お茶を飲んで『決闘だ!テメェ‼︎』って言えばいいのは知ってますよ」
「『けっこうなお手前で』じゃないかな…そんな一触即発なお茶会いやだろ…」
遅くなりました…申し訳ありません。