2月5日 煮たまごの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。煮たまごは半熟派。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。煮たまごは同じく半熟派。
武 高橋家に住み着く男性の幽霊。
貴子 高橋家に住み着く女性の幽霊。
太一 高橋家に住み着く子どもの幽霊。生まれついての幽霊。ラップ音は「パチパチ」。
ここはとある郊外のマンションの一室。
「た、高橋さん!そんないきなり!いきなりはダメっす!」
「…」
「待ってください!こっちの準備がまだ…!やめて!やめてください!」
「そう言われてももう止められないしな」
「そんな連続で…!あっ!あー‼︎あぁ…」
(ばたんきゅ〜)
「よし、これで俺の5勝目。5本先取でよかったんだよな?」
「ぐぬぬ…話が違うじゃないっすか⁉︎ぷよぷよ得意じゃないって言ってたのに⁉︎」
「いやほんとに弟には手も足も出なかったんだよ。今考えたらあいつ、尋常じゃないくらい上手かったんだな…」
「悔しい…スマブラなら!スマブラなら負けないっすよ!さっき買ってましたよね?そっちで勝負っす!」
「はいはい」
パチパチ!
「ん?太一くんもやりたいのか?田中くん、選手交代してもいいか?」
「逃げるんすか⁉︎…と言いたいとこっすけど、太一くんも見てるばっかりじゃつまらないっすよね。でもどうやってゲームするんすか?」
「うーん、俺の体に乗り移って…おっ、ポルターガイストみたいにコントローラー動かせるのか!これならできそうだな!」
「今なんか怖いこと言いかけませんでしたか…?」
「あとは2人で楽しんでくれ。俺は武さんたちと晩酌してるから」
「了解っす!じゃあ太一くん、やりながら操作方法教えるからね!」
パチパチ!
(GAME SET)
「つ、強すぎる…」
「…太一くんのキャラ、えげつない動きしてたな…」
パチパチ!
「えぇ…飲み込みが早いとかいうレベルじゃないんすけど…悔しい!こうなったらヤケ酒っす!酒持ってきてください!」
「飲みすぎるなよ。はい、太一くんにはオレンジジュース」
パチパチ!
「酒!飲まずにはいられない!」
「このあと吸血鬼にでもなりそうなセリフだな…まあつまみもあるから適当に食べてくれ」
「これは…煮たまごっすか?」
「ああ。今日は煮たまごの日って記念日だからな。今日食べようと思って作っておいたんだ」
「煮たまごの日?ああ、『2たま5』ってことっすか」
「そうそう。フリーランスライター&エディターの源川暢子さんが制定した記念日なんだ。今日作った煮たまごは源川さんが出した『ごちそう煮たまご』って本に載ってるレシピで作ったものだ」
「へー、食べてみていいっすか?」
「もちろんどうぞ」
「いただきます。もぐもぐ…あ、美味しい。しっかり半熟っすね!」
「口にあったようで何よりだ」
「煮たまごっていいっすよねー ラーメン屋さんでもあったらトッピングしちゃうっす。ん?こっちは少し違うんすね?なんかいい香りが…」
「ジャスミン茶煮たまごだな。ごまだれとかもあるぞ」
「へー!これもその本に載ってたんすか?ちょっと見てみたいっす」
「ああいいぞ。ちょっと待っててくれ。えーと、確かここに…これか。いや、これは店長のおすすめコーナーで買った店長自作のレシピ本か」
「店長ってレシピ本まで書いてるんすか⁉︎それも見せてもらっていいっすか?」
「ああいいよ。ほら」
「ありがとうございます!どれどれ…でも意外と普通っすね」
「簡単に作れるレシピもあるから地味に役立ってるよ。…人魚の肉をつかった料理とかも載ってるけど…」
「…えっ?」
「一応健康にいい料理ってジャンルにはなってたな…」
「健康どころか不老不死になっちゃうんですが…」