1月31日 愛妻家の日 愛妻感謝の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。父親は愛妻家というより恐妻家。家庭内で母に勝てる人はいない。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。父親は愛妻家。いまだにラブラブでちょっとひく。
ここはとある郊外のコンビニ。
「ありがとうございました。…ふう。なぜか知らないけどたまにこんな感じでまとまってお客がくるよな」
「…」(じー)
「ん?どうかした?こっちの方をじっと見てるけど」
「…高橋さん、さっきバイト前にバックヤードで女性と話してましたよね?」
「ああ、話してたよ。どうかしたか?」
「いえまったくどうでもいいんすけどね。高橋さんが誰と親しげに話してても。あれは誰なのかなってちょっと思っただけっすよ。いやほんとどうでもいいんすけど」(ムスッ)
「あれ?田中くん、会ったことなかったっけ?あの人は店長の奥さんだよ」
「なーんだ。(ホッ)店長の…奥さん⁉︎あの人どう見ても20代ぐらいにしか見えなかったっすよ⁉︎えっ?おいくつなんすかね…?」
「さすがに直接聞いたことはないが…店長とは幼なじみって言ってたからそんなに離れてないんじゃないかな」
「嘘でしょ…でも小学生のお孫さんがいるんすよね…今度若さの秘訣を教わりたいっす」※11月14日参照
「あっ、そうだ。店長のおすすめコーナーで今日奥さんお手製のクッキーが売られてたんだけど、一袋差し入れでもらったから休憩時間にでも食べようぜ」
「マジっすか⁉︎ありがとうございます!ぼくが来たときには売り切れてたから気になってたんすよね!でもなんでこんな時間に店に来てたんすか?」
「店長から忘れ物を取りに行くように頼まれたらしい。ちょうど手が離せなかったんだと」
「こんな夜遅くに取りに行かせるなんて、店長酷くないっすか⁉︎これは今度会った時に煉獄を叩き込んで制裁しないといけないっすね」
「いつ進藤塾の秘伝をマスターしたんだよ…奥さんからも20分ぐらい愚痴を聞いてたよ。まあ多分サプライズの準備のためだろうけどな」
「ん?サプライズ?」
「ああ。今日は愛妻感謝の日って記念日なんだ。この前それを店長に伝えたら興味深そうにしてたから、きっと何か仕込んでるんだろ」
「むぅ。それなら金剛で勘弁してあげましょう」
「一撃必殺に変わっただけじゃねーか」
「でもなんで今日が愛妻感謝の日なんすか?」
「愛妻感謝ひろめ隊って団体が制定した記念日で、1をアルファベットのIに見立てて、『131→あいさい』って語呂合わせからきてる」
「なるほどー」
「代表、ていうか隊長は浦上裕生さんって方で、この人は左利きグッズ専門店として有名な菊屋浦上商事株式会社の文具店の店主としても有名だそうだ」
「へー、二足の草鞋なんすね」
「まあ愛妻感謝ひろめ隊のホームページやブログは10年近く更新されてないけどな…」
「えぇ…」
「ちなみに愛妻家の日でもある。これは日本愛妻家協会が制定した記念日だな」
「その協会も活動してないとかないっすよね…?」
「こっちは活動してるっぽいな。Facebookとかを見る限り」
「よかったっす…でも愛妻家かぁ…高橋さんは結婚したら愛妻家になりそうっすね!」
「そ、そうかな。自分ではよくわからんが…」
「あ、でもどちらかというと尻に敷かれるって言ったほうが正確かもしれないっす!」
「…反論したいが、なんとなく俺もそう思うから何も言えねぇ…」
「まあ万が一結婚できたらの話ですけどね!万が一!」
「このやろう…一万分の一もあるわけないだろ。もっと低いわ」
「いや、怒るとこそこじゃないでしょ…」