1月28日 逸話の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。意外と逸話が多いが、自分では気づいていない。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。高校時代の逸話と伝説だけで本が一冊書けると言われている。
ここはとある郊外のコンビニ。
「店長って一体何者なんすかね?」
「割と今さら感のある疑問だな。いったいどうしたんだ?」
「いやほんとに日に日に謎が深まっていくじゃないっすか。ほんとに人間なのか怪しいエピソードもありますし…はっ!実は宇宙人とか!」
「それはわからんが…まあ正直よくわからないって結論になるんじゃないかな。俺は店長は店長ってことで納得してるけどね」
「それじゃダメっすよ!ぼくもちょっと前まで周りから『最強』と呼ばれてましたけど、そのせいで真に理解してくれる人がいなくて辛かったんすよ。店長もきっと同じだと思います」
「店長より君の過去の方が気になるんだが…」
「とにかく!店長を孤独にしないためにもぼくたちは店長のことを理解しないといけないんすよ!」
「なるほどな。それで本音は?」
「純粋に興味っす」
「素直でよろしい。でもほんとに謎だらけだからな…おすすめコーナーも謎だらけだけど」
「そうっすよね…今日のモンキーレンチ特集って誰を対象にしたものなんすかね…?」
「しかもそれで割と売れてるからな…この店の客層も謎だわ」
「それより店長自身のことっすよ!まずは今わかっている店長の情報を整理しましょう」
「店長の情報ねぇ…まず職業はコンビニの店長だな」
「まあそうっすね。そういえばこのコンビニってあんまり見ないっすけど、他にも店舗があるんすか?」
「ああ。割と全国に点々とあるらしいぞ。直営店しかないのが特徴で、本部の社長は店長の知り合いらしい」
「店長の人脈の広さも謎っすよね…過去の経歴とかご存知ないっすか?」
「いや、あんまり聞いたことない。昔バックパッカーをしてたってのは聞いたけど」※1月9日参照
「あー、あのコーヒー農園のときっすね。でも店長との付き合いの長い高橋さんが知らないとなると…やっぱり本人に聞くしかないっすかね?」
「話の流れで何度か聞いたことあるけど教えてもらえなかったぞ。噂はいろいろ流れてるけどな」
「噂?たとえばどんなですか?」
「幼少期は恐山で過ごしたとか、アマゾンの奥地でシャーマンから呪術を習ったとか、高校時代は生徒会で会計をしてたとか」
「最後のどうでもいい噂はなんなんすかね…噂じゃなくて確かな情報はないんすか?」
「伝説とか逸話とかがちらほらあるな。嘘みたいな話ばっかりだけど一応どれも事実確認されてる」
「ちょっと聞くのが怖いんすけど…ところで伝説と逸話って何が違うんですか?」
「ざっくりいうと知名度の違いかな。よく知られてるのが伝説で、あまり知られてないけど興味深い話が逸話だね。ちなみに今日は語呂合わせで逸話の日って記念日だよ」
「ふむふむ」
「店長の話でいうと、連続爆弾魔逮捕に貢献したってのは割と知られてるから伝説かな」※12月10日参照
「まあ内容も伝説級ですけど…じゃあ逸話はどんな話があるんすか?」
「そうだな…店長が毎年慈善団体に多額の寄付をしてるってのは逸話かな。店長があんまり言いたがらないから、みんなあんまり知らないし」
「そうなんすか⁉︎ぼくも知らなかったっす…そんな一面もあるんすねぇ。もっとアピールすればいいのに」
「気恥ずかしいって言ってたぞ。…あれ?でもこの話、この前田中くんにしなかったっけ?」
「えっ、いや初耳っすよ。こんなインパクトのある話を忘れたりしないと思うんすけど」
「あっ、そうか。あのときは田中くんがいろんな人に広めようとしてたから、店長から記憶を消されたんだったな」
「…今すごく怖いこと言いませんでしたか…?」
投稿が遅くなり大変申し訳ございません。