1月25日 日本最低気温の日 ホットケーキの日 中華まんの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。中華まんは肉まん派。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。中華まんはあんまん派。
滝川 バイト仲間。本名は滝川 照。あだ名は「クリス」(命名 田中) 中華まんはピザまん派。
ここはとある郊外のマンションの一室。
ピロン!
「ん?…田中くんからか」
『今から家に行ってもいいですか?』
「何かあったのかな?い・い・よっと」
ピンポーン
「早っ!うちの前に居たのかね?よっこらしょっと」
タッタッタッ ガチャ
「どうした、こんな時間に?…やけに深刻そうな顔だな」
「すみません、突然…ちょっと話聞いてもらいたくて…」
「…まあ立ち話もなんだし、あがったら?今日も冷えるしな」
「ありがとうございます、お邪魔します」
「はい、温かいお茶」
「すみません、いただきます」
「それでどうしたんだ、いったい?」
「今日さっきまでバイトの夕勤だったんすよ…」
「そういやたしかにそんな時間だな。おつかれさま」
「それでクリスちゃんと一緒だったんすけど…」
「うん」
「実は…クリスちゃんに彼氏ができたらしくて…」
「へー、そうなんだ。それはめでたいな」
「めでたくないっす!」
「うおっ!びっくりした…」
「ぼくのクリスちゃんが…どこの馬の骨ともしれないやつに持っていかれるなんて…!」(ギリギリ)
「歯ぎしりするほどかよ…ほんとに君は滝川くんのことになるとなんかおかしくなるな」
「フッ…クリスちゃんの可愛さがぼくを狂わせるんすよ…」
「フッ、じゃねーよ。それで?うちに来た理由は?」
「かなりショックだったんで…愚痴を聞いてもらいたくて…」
「あ、そういうこと…」
「ほんとに衝撃的だったんすよ!これは推しのアイドルの熱愛報道を聞いたのに等しいっす!…こんな時間に押しかけたのは申し訳ないっす…でも、話聞いてくれそうな人が高橋さんしか思いつかなくて…」
「…わかった。まあ愚痴ぐらいならいくらでも聞いてやるよ」
「ほんとっすか⁉︎」
「ああ。その前に夕勤明けなんだったらご飯食べてないんじゃないのか?」
「あ、そういえば…」
「簡単なものだったら用意できるぞ?愚痴だったら食べながらでもいいだろ」
「いいんすか⁉︎すみません、至れり尽くせりで…」
「別にいいよ。えーと今うちにあるのは…肉まんかあんまんかホットケーキかな。どれがいい?」
「またなんかすごい組み合わせですね…はっ!わかりましたよ!今日は中華まんとホットケーキの日っすね?」
「おっ、よくわかったね。今日は中華まんの日とホットケーキの日だよ」
「えっ?まさか当たるとは…でもなんでその二つが同じ日なんすかね?」
「実は今日は日本最低気温の日なんだよ。1902年のこの日に北海道旭川市で公式の最低気温、ー41.0度を記録したんだ。その日にちなんで温かいものを食べて暖まってもらおうって理由でそれぞれ記念日ができたそうだ」
「なるほどー」
「それでどれを食べる?肉まんあんまんはレンジで温めたらすぐ食べられるし、ホットケーキもこの前ホットケーキミックスを買ったばっかりだからすぐできるぞ。ほら、これだ」
「なんすか、その大きな袋は…?」
「店長のおすすめコーナーで業務用のホットケーキミックスが美味しくなって新登場してたんだよ。懐かしくなって買ってしまった」
「ああ、高橋さんが一時期、週に20回は食べてたってやつっすか。でも大抵『美味しくなって新登場』って量が減ったりしてるやつっすよね。ぼくは騙されないっすよ!」※8月3日参照
「甘いな。店長のおすすめコーナーだぞ。逆に量は増えてるのに値段据え置きになってたよ。味もたしかに美味しくなってた」
「それはすごいっすね!…あれ?元々10kgだったって聞いたような…どのくらい増量してるんすか?」
「えーと、1.5倍になってるな」
「…15kgのホットケーキミックスなんて使いきれないでしょ…」