1月14日 褒め言葉カードの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きな褒め言葉は「すごい」
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きな褒め言葉は「おしゃれ」
ここはとある郊外のコンビニ。
「理想の上司になりたいんすよ」
「…なんだって?」
「だから理想の上司になりたいんです」
「…すまん、2回聞いてもわからんかったわ…どういうことだ?」
「だからですね、部下から好かれて、リーダーシップがあって、人望が厚いみたいな上司ってカッコいいじゃないっすか!そういう人になりたいってことっす」
「なるほど…ちなみに部下ができる予定でもあるのか?」
「いえ、ないっす」
「…わかった、理解したよ。とりあえず理想の上司ってワードがカッコいいから、そうなりたいってことだな」
「そういうことっすよ!やっとわかっていただけましたか!」
「君の唐突さには毎回度肝を抜かれるよ…しかし、理想の上司か…たとえば具体的にこの人、みたいなのは誰かいる?」
「そうっすね…フリーザ様っすかね」
「あれ理想の上司か…?」
「だって部下にも敬語で指示も具体的ですし、何より潰れちゃった共同事業社の次期社長を自分の部下に迎える度量の大きさっすよ!」
「ベジータのことか…でもあれ潰したのはご本人だろ…」
「とにかくですね、ぼくもギニュー特戦隊みたいな優秀な部下に慕われる立派な上司になりたいんすよ!」
「あの人たち部下にいたら疲れそうだけどな…」
「どうしたらなれますかね?店長のおすすめコーナーにある自己啓発本とか読んだ方がいいっすかね?」
「今日はまた濃ゆい特集してんな…あ、店長の書いた本も並んでるじゃん」
「店長って本までだしてたんすか⁉︎」
「ああ。コンビニ経営論ってやつ。その中で従業員との接し方みたいな項目があったけど、それは部下との付き合い方にも応用できる内容だった気がする」
「あ、高橋さん、すでに読んだことあるんすね…どんだけ店長大好きなんすか…」
「あの本が出版されたときにもらったんだよ。感想文を書くっていう業務命令と一緒にな…」
「えぇ…パワハラじゃないっすか…その時点で理想の上司とは程遠いんすけど…」
「まあ書いてある内容はまともだから…読むなら今度貸すよ?」
「あ、じゃあ読んでみます。なんだかんだ店長もバイトのみんなから好かれてますしね。そのノウハウを勉強します!」
「今度持ってくるわ。あとは…そういや今日は褒め言葉カードの日だな」
「褒め言葉カード?」
「一般社団法人日本褒め言葉カード協会ってとこが作ったものなんだけど、100枚のカードに褒め言葉が書いてあって、それを使って褒め合う訓練をして褒め方を身につけようってものらしい」
「たしかに褒めるのは大事だと思いますけど…誉め方を身につけるってのはどういうことっすか?普通に誉めたらいいじゃないっすか」
「誉めなれてないと意外と言葉が出てこないみたいだぞ。さらっと褒められるのもカッコいいし、身につける意味はあると思うけどな。ちなみに記念日の日付は褒め言葉の一つの『いいよ』の語呂合わせからだそうだ」
「なるほど…ちなみにそのカードはどこで手に入るんすか?」
「講習を受けるともらえるらしい。1講座2万円くらいだったかな」
「2万円…ちょっとバイトの身にはお高いっすね…そうだ!ここで褒め方の練習をすればいいじゃないっすか!高橋さん、ちょっと練習台になってくださいよ」
「あ、ああ、別にいいけど」
「いきますよ!えーと、高橋さんはぼっちなのに生きてて偉いっす!」
「煽りにしか聞こえないんだが…」
後ほど後日談を番外編に投稿予定です