1月10日 イトウの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。イトウを一度見てみたい。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。魚だったら食べてみたい。
ここはとある郊外のコンビニ。
「高橋さん!今こそ『田中vs高橋 仁義なき戦い』の続きをやるときっすよ!」
「なんだそれ…あー、この前やった田中と高橋のどちらが苗字として上か、の勝負のやつか。え、あれほんとに100番勝負やるの?」※9月19日参照
「当たり前じゃないっすか!ぼくは田中を日本一、いや世界一の苗字にしたいんすよ!そのためにまずは高橋さん、あなたを倒させてもらいます!」
「別に俺を倒しても世界一に近づくわけじゃないと思うが…しかし君の苗字へのこだわりはすごいな。将来的に結婚するときには相手の姓を田中にしてもらうのか?」
「もちろんっす!1人でも田中を増やしたいっすからね!」
「ふむ、そうか…」
「あ、いや、ど、どうしてもっていうなら田中をミドルネームとして残すとかでもいいっすけど…と、とにかく今日は田中vs高橋の第二試合をやりますよ!」
「まあいいけどさ。それで勝負の内容は?」
「そうっすね…あ、店長のおすすめコーナーに漢字練習帳があったんで、これを使いましょう!お互いの苗字をそれぞれ書いていって、先に100回書けた方の勝ちっす」
「それは画数的に圧倒的にこっちが不利な気がするんだが…」
「前の勝負に負けた方が試合内容を決めるのが公式ルールだからそこはしょうがないっすね」
「なんの公式だよ…」
「さあさあ、早く勝負を始めますよ!自分の漢字練習帳を準備してください!」
「せめてバイトが終わってからにしてくれ…しかし急にこの勝負のことを言い始めたね。何かきっかけがあったのか?」
「実は下からの突き上げがあったんすよ…」
「…?なんのことだ?」
「友人のトモちゃん、あー、伊藤ちゃんから聞いたんすけど、今日は伊藤の日って記念日だそうじゃないっすか」
「伊藤の日?あー、まあそうだな」
「伊藤といえば、佐藤、鈴木、高橋、田中に次いで5番目に多い苗字っす。でも、田中の日や高橋の日はないのに、伊藤の日があるとなると今後順位を脅かされるんじゃないかと思ってですね…」
「なるほど、それで勝負を急いだってわけか」
「はい。高橋さんを倒すのはこのぼくっすからね」
「いや別に伊藤さんに勝負を仕掛けられる予定はないんだが…というよりたしかにイトウの日はあるけど、別に苗字の話じゃないぞ」
「…へ?」
「イトウっていう魚がいるんだ。日本最大の淡水魚で絶滅危惧種なんだけど、その知名度アップを目的に作られた記念日だな。イトウの展示をしている北海道北見市の北の大地の水族館ってとこが制定したそうだ」
「あ、そうなんすか…で、でも名前の由来はやっぱり伊藤さんだったりするんじゃないんすか?」
「サケの仲間なんだけど、その中では細長い魚らしくて、『糸のような魚』から『糸魚』→『イトウ』って呼ばれるようになったらしい」
「へー。ちなみにどのくらいの大きさなんすか?」
「大きいものだと1.5mを超えるらしいぞ。一度見てみたいな」
「そんなに大きいんすか⁉︎じゃあ今度見に行きましょうよ!北見市でしたっけ?ぼく、北海道行ったことないんでぜひ行きたいっす!」
「いいなそれ!ちょっと計画立ててみるか」
「ぜひぜひ!でも安心しました。伊藤さんの日ってのはないんすね」
「ん?安心したっていうのはどういう意味だ?」
「だって記念日に支配されてる高橋さんなら、『伊藤の日があるから伊藤さんが好き!』とか言い出しかねないじゃないっすか」
「俺のことをなんだと思ってるんだ、君は…」
明日から0時更新にもどれる…と思います。