1月7日 七種 消救車の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きな七種はすずな。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きな七種はほとけのざ。
ここはとある郊外のコンビニ。
「今日の店長のおすすめコーナーは七草粥セットっすか」
「これかなり美味いぞ。毎年買ってるわ」
「へー、そうなんすね。でも七草粥って7日の朝に食べるものじゃなかったっすか?」
「元々はそうだな。無病息災のおまじないみたいなものだったはず」
「じゃあ今買っても間に合わないじゃないっすか」
「…言われてみればたしかに…そういや毎年7日の夜に買って、8日の朝に食べてるな…」
「ま、まあ高橋さんあんまり病気しないし、いいんじゃないっすか?それよりあの商品POP、途中までしか商品名が書かれてないっすよ。ほら、『七種』で止まってます」
「ああ、あれで七種って読むんだよ。元々は『七草』って書くと秋の七草のことを指してたらしい。春の七草はこっちの『七種』って表記されることが多かったみたいだな」
「そうなんすか!てっきり七種類って書いてる途中かと。それにしても秋の七草っすか…あれって基本的にみて楽しむものっすよね?」
「ああ。食べる文化はなかったと思う。漢方薬の生薬として使われたりはするけどな。それがどうかした?」
「近所に名物おじさんが住んでるんすよ。なんか変なことをして、よく救急車で運ばれるって人なんすけど。その人が前に秋の七草粥を作って食べてたのを思い出しまして」
「かなりヤバい人だな…それで大丈夫だったのか?」
「無事救急車で運ばれましたよ。すすきの穂の部分が入ってたり、明らかに七草じゃない変な草が入ってたらしいっす」
「全然無事には聞こえないが…」
「今も元気っすよ。回復力はハンパないらしいっす。でもなんか最近は言動もおかしいっすね。ちょっと前に紅白の救急車に乗ったことがあるとか言ってましたよ。何と見間違えたんすかねぇ」
「紅白の救急車か…もしかしたら消救車かもな。それだったらかなりレアな体験してるな」
「…は?今なんて言いました?」
「消救車だよ。消防救急車。一台で消防車にも救急車にもなるってやつ」
「またまた!ぼくを騙そうったってそうはいかないっすよ!ぼくには心眼のスキルがありますからね!」
「なんだそれ…いや、実際にあるんだよ。2005年の1月7日に千葉県松戸市で第一号が配備されたんだ。それを記念して今日は消救車の日って記念日になってる」
「…ほんとにあるんすか?正直信じられないんすけど…」
「ほんとだって。そういや店の裏にある店長のトミカコレクションの中にあった気がするな。ちょっととってくる」
「なんで店に店長のコレクションがあるんすかね…」
「いろんな収集癖があるから家に置いておくと奥さんに怒られるらしいぞ。あったあった、これだ」
「ほ、ほんとに紅白のカラーリングだ…いや店長の創作品という可能性も…」
「だからほんとにあるんだっての。ほら、横にホースが付いてて放水もできるし、中はベッドもあって患者の搬送もできる」
「すごい!一台二役ってわけっすね!患者さんを運びながら火が消せますね!」
「いや同時には難しいだろ。移動するか現場に留まるかで役割が違うんだから。状況に応じてどちらとしても出動できるって点が1番のメリットだな」
「あ、たしかにそうっすね…でもユーティリティプレーヤーって感じでカッコいいっすね!ぼくも消救車みたいな人間になりたいっす!」
「ほう。具体的にはどんなことができるようになりたいんだ?」
「そうっすね…ニラレバが作れてレバニラも作れる、みたいな感じっすかね!」
「…それおんなじじゃないか…?」
連日遅くなり申し訳ありません。