1月5日 囲碁の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。囲碁はほとんどやったことない。五目並べは好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。囲碁は割と得意。
ここはとある郊外のコンビニ。
「〜♪」
「ごきげんだな。なにかいいことでもあったの?」
「そうなんすよ!聞いてくださいよ!なんとですね!新春恒例田中家5番勝負で兄に勝ったんすよ!」
「田中家5番勝負?」
「えっ、ご存知ないんすか⁉︎うちの家族はみんな知ってるのに…」
「いや、そりゃ君の家族は知ってるだろ…どんな行事なんだ?」
「えっと、代表者2名で元日から毎日1種目ずつ勝負していって、3勝した方が勝ちってルールっす」
「ふむふむ。それを毎年恒例でやってるのか。どんな種目で勝負するんだ?」
「お正月っぽいものが多いっすね。今年は初日から順番にこま回し、はねつき、福笑い…」
「ん⁉︎福笑い?福笑いってどうやって勝敗決まるんだ?」
「店長のおすすめコーナーにバトル福笑いってのが売ってたんすよ。結果に応じて採点基準が決まってて、勝敗をつけるってやつなんすけど」
「また変わったもの作ってるな、あの人は…でもちょっと面白そうだな」
「かなり盛り上がりましたよ!今度高橋さんもやりましょうよ!」
「ああ。ぜひやろう。それで4日目は?」
「シャドウバースっすね」
「急に現代のゲームになったな…正月っぽくはないだろ」
「でも『シャドウバース』と『おしょうがーつ』って似てません?」
「それ言い方だけだろ…でも今日決着がついたってことは最終戦までもつれ込んだのか」
「そうっす!今日の囲碁でぼくが勝って勝利を決めたってわけですよ!」
「囲碁か。正月らしいかといわれるとちょっと微妙な気もするが…でも今日囲碁なのはタイムリーだな」
「タイムリーというと…もしかして記念日っすか?」
「ああ。今日は囲碁の日だ。日本棋院が提唱した記念日で、日付は語呂合わせからだな」
「それはわかりやすいっすね!高橋さんは囲碁はやったことあります?」
「かろうじてルールがわかるくらいかな…実際にやったことはほとんどないわ」
「そうっすか…せっかく勝負を決めたぼくの神の一手を自慢したかったんすけど…」
「すまん、多分聞いても凄さがわからないと思うわ…そんなにすごい手だったの?」
「かなり自信のある手なんすけどねぇ…そうだ!今度ぼくが高橋さんに囲碁を教えてあげますよ!格安で!それでぼくの手の凄さを思い知って下さい!」
「金取るのかよ!でもなかなか囲碁を教えてもらえることってないよなぁ。ちなみにいくら?」
「いや、ほんの冗談っすから…でもぼくでよければほんとにお教えしますよ」
「それはぜひお願いしたいな。先生、よろしくお願いします」
「せ、先生…!ふふん!そこまで言われちゃしょうがないっすね!ビシバシ鍛えてあげましょう!」
「そ、そこまで本格的じゃなくてもいいんだが…そういやさっきの5番勝負って種目は毎年一緒なのか?」
「いえ、勝負の日に交互に種目を決められるんすよ。でもなぜか5種目目だけは囲碁で固定なんすよねー」
「ふーん、何か理由があるのかね?」
「父も母も教えてくれないんすよ。5種目目をやるのが囲碁の日だからっすかね?」
「それもなくはないと思うが…あっ、ごばん勝負だからじゃないか?碁盤使うし」
「…いや、まさか…そ、そんな親父ギャグなはずが…今年で第96回を数える伝統ある行事なんすよ⁉︎」
「戦前からやってるのかよ…」
投稿が遅れて申し訳ありません。