1月4日 石の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。狛犬は阿形が好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。お地蔵さんは前掛が可愛いから好き。
ここはとある郊外のコンビニ。
「ありがとうございました、またお越し下さいませ」
「ありがとうございましたー …高橋さん、さっきのお客さんって常連さんですよね?」
「ああ、よく見るな」
「なんか今日違和感があった気がするんすけど…何か気づいたことないっすか?」
「そうだな…日付変わったこの時間に来るのは珍しいかな。あとは…指輪じゃないか?」
「あっ!それっすね!あの人いつも大きめの宝石がついた指輪を何個もしてたけど、今日はしてなかったっす」
「夜中だから付けてこなかったのかもな。服装も若干部屋着っぽい感じだったし」
「なるほど!すごい洞察力っすね!さすが高橋さん、いつもお客さんをジロジロ見てるだけのことはありますね!」
「なんか語弊のある言い方だな…」
「しかしあの人は何者なんすかね?」
「詳しくはわからないが、宝石好きなのはたしかだな。店長のおすすめコーナーで宝石関係が売ってるときには必ず見に来て、高確率で購入してる気がする」
「…コンビニで宝石売るのってどうなんすかね…?防犯面とか…」
「まあセキュリティばっちりとは言いがたいけどさ、正直盗んだりした人が店長に呪い殺されないかの方が心配になるかな…」
「あぁ…たしかにそうかもしれないっす…」
「まあ毎日置いてあるわけじゃないしな。逆にこんなとこで宝石が売ってるなんて思いもしないから安全かもしれん」
「それもそうっすね。でも宝石っすか…なんか不思議な魅力がありますよねぇ。綺麗なだけじゃなくて、こう…力を秘めてるというか」
「なんとなくわかる気がする。引き込まれるような魅力があるよな。世界中で宝物にされるだけあるわ」
「いいっすよねぇ!今は分不相応っすけど、いつかは自分に合った宝石を身につけてみたいっす。高橋さんはそういうのないっすか?」
「そうだなぁ。社会人になったら自分の誕生石のものを買って持っておきたいって思ったことはあるかな。ルビーか…あとはちょっと前に追加されたスフェーンか」
「た、高橋さんの口から誕生石なんて言葉が飛び出すなんて…えっ、曇りガラスの向こうは風の街なんすか?」
「いや、別にその歌に影響されたわけじゃないから…前に誕生石について調べたことがあってな」
「高橋さんが調べるってことは記念日がありそうっすね…はっ!ふふふ、わかりましたよ!1月4日、『1 4』の語呂合わせで今日は宝石の日っすね?」
「惜しいな。今日は石の日だ。宝石の日は11月11日」
「くっ、裏を読みすぎましたか…でも11月11日生まれの人が誰かいた気がしますね。その人への誕生日プレゼントは宝石がいいかもしれないっすね!誰だか忘れましたけど!」
「驚きの白々しさだな…」※11月11日参照
「冗談はさておきですね、石の日っていうのはどういう日なんすか?」
「えっと、お地蔵さんとか狛犬とかの石でできたものにお参りすると、願いが叶う日って言われてる」
「えっ、お参りするだけでいいんすか?」
「ああ。触ると願いが叶うって話も聞いたことあるが、まあ基本的には同じかな」
「どちらにせよお手軽っすね!世界中に散らばる7つのお地蔵さんを集めたりしなくてもいいってことっすか!」
「ドラゴンボールかよ…」