6月11日 入梅 傘の日
二人の名前は先輩が高橋、後輩が田中です。
ここはとある郊外のコンビニ。雨の日もコンビニは24時間営業だ。
といってもこの時間はいつものように客はいない。
ウイーン、ピンポーン
「ごみ捨て終わりましたー」
「お疲れ。雨はどんな感じ?」
「パラパラって感じっすねー」
「そっか。今日は一日中雨だな」
「そうっすね。そろそろ梅雨っすかね」
「まあ今日は入梅だしな」
「にゅうばい?」
「雑節っていう古い暦の一つなんだよ。大体6月11日ぐらいにあたるらしい」
「へー」
「それに関連して6月11日は傘の日でもある」
「傘の日っすか。…あー、そういやこの前傘パクられたんすよね…」
「えっ、あのオシャレなやつ?」
「そうなんすよ~、マジショックで~」
「なんか普通にパクっていくやついるよな。多分ありゃ病気だな」
「傘立て使わず持ち歩けばよかったんすけど…」
「それやられると店の中びちゃびちゃになるんだよな…」
「そうなんすよね~ 傘袋があればいいんすけど」
「コンビニにはないとこの方が多いしな。…あっ、それなら店長おすすめコーナーの折り畳み傘買って帰ったらどう?」
「えー、あの白菜みたいなやつっすかぁ?あんなの恥ずかしくて差せないっすよ…」
「そりゃそうか…どこから仕入れてくるんだろうな、ああいうの…」
「そういえばなんで傘は『差す』っていうんすかね?」
「『支え持つ』って意味で『さす』っていうらしい。『撐す』とかいう漢字が使われた時期もあるらしいぞ」
「へー。…はぁ、ぼくの傘今頃どこにあるんだろう…」
「まぁそんなに気を落とすなよ。ちなみに今傘はどうしてるんだ?」
「高橋さんの置き傘借りパクして使ってます」
「おい、ふざけんな」