12月24日 クリスマス・イブ
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。イブはバイトしている。高校生の頃から毎年そう。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。イブはパーティーをしている。子どもの頃から毎年そう。
ここはとある郊外のコンビニ。
「〜♪」
「なんか今日はご機嫌だな」
「そりゃそうっすよ!なんたって日付変わって今日はクリスマス・イブっすからね!」
「そういやパーティーするって言ってたね」※12月7日参照
「そうなんすよ!もう楽しみで楽しみで!」
「ほう」
「あ〜楽しみだな〜、ターキー」
「ああ…料理のことなのね…」
「あ、もちろんケーキも楽しみっすよ!」
「結局食べ物じゃねーか!」
「高橋さんはバイトって言ってましたっけ?」
「ああ。25日の夜までみっちりな」
「大変っすねー あ、今日は高橋さん、早上がりでいいっすよ。少しでも寝ておかないとでしょ」
「ありがたいけど…いいのか?田中くんも今日パーティーなんだろ?」
「パーティーは夜からなんで全然大丈夫っす!」
「そっか。じゃあお言葉に甘えて。ありがとう、ほんとに助かる」
「いえいえ!でも今日は店長のおすすめコーナーもクリスマス一色っすね」
「だな。リースにツリーに飾り付けに…おっ、ブーツの形の箱に入ったお菓子の詰め合わせもあるな」
「これテンション上がりますよね!店長セレクションって書いてあるのがちょっと気になりますけど…」
「まあな。でも上から見える分では特に変なものは入ってなさそうだぞ」
「ほんとっすね。…いや、しれっと店長特製生姜湯EXが入ってますよ…」※12月4日参照
「ほんとだ…ま、まあせっかくのクリスマスだしな。風邪をひいてたらもったいないだろ」
「たしかにそうっすけど…まあよしとしましょう。高橋さんは何かクリスマスっぽいことしないんすか?」
「25日の夜にバイト先のケーキ屋さんから貰えるケーキを食べるくらいかな。太一くんの誕生日祝いも兼ねて」
「そういえば太一くんの誕生日でしたね!そっかそっか…」
「ん?どうかした?」
「い、いえ!なんでもないっす!そういえば前から気になってたんすけど、クリスマスのケーキって24日と25日、どっちに食べるのが正解なんすか?」
「日本に限ればどっちでもいいんじゃないかな。24日も25日もケーキ屋は忙しいし」
「そんなもんっすかね」
「クリスマスの本場からすると24日の夜に食べるのが正解かな。なんてったってクリスマス・イブだし」
「…?どういうことっすか?」
「『イブ』は英語の『イブニング』の語源になった『even』って単語からきてて、『夜』って意味なんだ。だから『クリスマス・イブ』は『クリスマスの夜』って意味なんだよ」
「えっ⁉︎24日だから前日じゃないんすか⁉︎」
「キリスト協会暦では1日は日没から次の日没までのことを指すんだ。だから厳密にいうとクリスマスは24日の夜から25日の日没までってわけだ」
「25日の夜はクリスマスじゃないんすか…えっ、じゃあクリスマスの2日前をクリスマスイブイブとかいうのは間違いってことっすか?」
「正確にいうとそうなんだけど、誤用でも定着してるものはそのまま使っていいんじゃないかな。言葉の意味なんて時代とともに変わるし」
「…」
「だからクリスマスケーキを食べるのも24日の人もいれば25日の人もいる、それが日本のクリスマスってことでいいだろ」
「…なるほど!いい話をありがとうございます!ぼく感動しました!」
「そ、そうか。まあお気に召したなら何よりだ」
「24日も25日もケーキを食べていいってことですね!」
「…まあいいけどさ…」