12月19日 日本人初飛行の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。もし空を飛べるなら、家の高いところの掃除に使いたい。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。もし空を飛べるなら、いろんなところに旅行に行きたい。
ここはとある郊外のコンビニ。
「店長のおすすめコーナーにドローンが売ってあるじゃないっすか?」
「ああ。意外とこのくらいの値段で買えるんだな。それがどうかした?」
「あれってですね、どういう原理で空を飛んでるんすか?」
「一般的にドローンっていわれるのは複数のプロペラがついたマルチコプターってタイプのやつだけど、プロペラが回ることで揚力を生み出して、その速さや回転方向でホバリングをしたり、進んだりするらしい」
「ふむふむ。それって応用したらタケコプターができたりしないっすかね?」
「難しいんじゃないかな…人を持ち上げるにはパワーが足りないだろ」
「やっぱそうっすよね…うーん、なんとか空を自由に飛びたいんすけどね…」
「なんか前もそんなこと言ってたな」※7月31日参照
「やっぱり憧れるじゃないっすか。車もしばらく空を走る予定も無さそうですし」
「ヒトリノ夜かよ。…空を飛ぶといえば、今日は日本人初飛行の日だな」
「日本人初飛行の日?」
「ああ。1910年のこの日、徳川好敏工兵大尉が動力付き飛行機による飛行を日本で初めて成功させたんだ」
「へー。日本初っすか。世界初はライト兄弟っすか?」
「そうだな。1903年12月17日だ。ちなみに12月17日は飛行機の日って記念日になってる」
「ふむふむ。7年後なんすね」
「まあその分飛行距離は長いぞ。ライト兄弟が初回は36mぐらいなのに対して、徳川大尉は4000mくらいだからな」
「なるほど。でも当日はめちゃくちゃ緊張したでしょうね…失敗したら命を落としかねないじゃないっすか」
「…まあ実際は5日前の14日に飛行に成功してたんだけどな」
「…えっ、じゃあそっちが日本初じゃないんすか?」
「公式の飛行実施予定日じゃなかったから、誤って離陸したって報告されてノーカンになったらしい」
「誤って離陸ってすごいパワーワードっすね…でも日本人が空を飛んで100年以上経つんすから、そろそろタケコプターの一つや二つできてもいいと思うんすけど」
「まあ難しいだろ。第一、あのサイズのプロペラじゃ空を飛ぶのは無理じゃないかな」
「うーむ…じゃあ公式の設定通りに反重力場を発生するようにしなきゃならないっすね」
「えっ、あれってそういう原理で空を飛んでるの?」
「知らなかったんすか?ドラえもんの体の中に原子炉があるのと同じくらい常識っすよ」
「それも知らなかった…というか安全面大丈夫なのか?ドラえもんってよく故障してるイメージがあるが…」
「未来の技術できっと大丈夫なんでしょ。最近は原子炉って明言されなくなってますけどね。そんなことより反重力場っすよ」
「それこそ未来の技術だよなぁ。実現できたら革命が起きそうだ」
「高橋さんの行ってる研究室でこういうの作ったりしてないんすか?」
「さすがにないな。まず分野が違うし。あっ、でも研究室の中で俺は浮いてるぞ」
「いや、そういう悲しい話を聞きたいわけじゃないんすよ…」
遅くなってしまい申し訳ありません。