12月16日 電話創業の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。電話は苦手。声が高くなりがち。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。電話は好き。友達とグループ通話するのがマイブーム。
田所 バイト仲間。親戚が亡くなったことにしてバイトをサボる常習犯。
チョコ コンビニの常連の黒猫。とても賢い。
太一 高橋家に住み着く子どもの幽霊。生まれついての幽霊。IQがすこぶる高い。
ここはとある郊外のコンビニ。
「さっきの休憩時間に誰かと電話してませんでした?」
「ああ、してたよ。すまん、聞こえてたか」
「ええ、楽しそうな声が聞こえてたっすよ。朝方に店に来るとかなんとか。誰と話してたんすか?どんな関係の人なんすか?」
「な、なんか圧がすごいな…人じゃなくてチョコさんだよ。ちゅ〜るの在庫はあるかって確認の電話だった」
「…えっ?チョコさんが電話…ど、どうやって?」
「それが謎なんだよな。携帯を持ってるようでもないし」
「…もしかして嘘ついてごまかそうとしてないっすか?」
「何をごまかすんだよ…えーと、ほら、着信履歴に『チョコ』ってのってるだろ?でもこれの番号を表示しようとするとえげつない文字化けをするんだ」
「うわっ!スマホ壊れたかと思うぐらいの文字化けっすね…」
「でもリダイヤルするとチョコさんにつながるんだよなぁ。不思議だ」
「不思議ですませていいんすかね…でも、チラッと見えちゃったんすけど、高橋さんの着信履歴ってぼくと田所さんばっかりっすね」
「ああ。田所さんは13割くらいバイト代わってくれって電話だよ。バイトのこと以外でかけてきてくれるのは田中くんぐらいだな」
「10割超えてるんすけど…でもそうっすか…えへへ」
「あとときどき太一くんかな」
「太一くんからもかかってくるんすか⁉︎」
「メールがまだ苦手らしい。でもなぜか声が地獄の底から響くような音になるからちょっと怖いんだよな…」
「バリバリの心霊現象じゃないっすか…」
「そういえば電話といえば今日は電話創業の日って記念日だな。1890年のこの日から東京市内と横浜市内の間で日本初の電話事業が開始されたらしい」
「へー、電話ってそんな前からあったんすねぇ」
「まあ最初は加入電話は200台弱だったらしいけどね。それに交換手を介して相手に繋げてもらうって方式だった」
「交換手…ああ!となりのトトロでそんなシーンがありましたね!」
「ああ、あったあった。お父さんのいる考古学教室に繋いでもらうんだよな」
「あの後から急展開なんすよね〜 あー、久々に見直したくなったっす…」
「たしか店長のおすすめコーナーがジブリ特集をやってたような…」
「タイムリーっすね!DVDかBlu-rayがないっすかね?…VHS…だと…」
「すげぇな…今となってはむしろこっちの方がプレミアついてんじゃないかな…」
「でもビデオデッキなんて持ってないっすよ…しっかしこんなに厚みがありましたかね?」
「DVDとかに慣れるとすごく厚く感じるな。科学の進歩ってすごいよなぁ。電話もネコや幽霊にもつながるようになってるし」
「それは高橋さんのスマホだけだと思いますけど…」