6月28日 パフェの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きなパフェはチョコレートパフェ。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きなパフェはストロベリーパフェ。
ここはとある郊外のコンビニ。
「こちら商品です。ありがとうございました」
「ありがとうございましたー またお越しくださいませー」
「ふう、とりあえずはけたか。珍しいな、この時間に客来るの」
「しかもめっちゃ多かったっすね。なんかあったんすかね?」
「そういやみんなスイーツ買っていったな。あー、店長のおすすめコーナーのやつはスイーツっていっていいか微妙だけど」
「ああ、ふ菓子30本セットってやつっすよね。あれ買う人いるんすね…」
「絶対売れないと思ってたわ…でもなんでみんなスイーツ目当てだったんだろ?」
「テレビでコンビニスイーツ特集があったとかっすかね?」
「あー、それはありそうだな。今日はパフェの日だけどそれは関係ないだろうし」
「えっ、今日ってパフェの日なんすか?それ早く教えといてくださいよー知ってたら高橋さんにパフェ奢ってもらったのに」
「なんで奢らんといかんのだ」
「でもなんでパフェの日なんすか?」
「ああ、1950年のこの日、藤本英雄選手が日本プロ野球史上初めての完全試合を達成したんだよ」
「…は?パフェの日じゃなかったっすか?」
「パフェの日であってるよ。パーフェクトゲームとかけてあるんだろ」
「うわー、親父ギャグとか最低っすよ、高橋さん」
「いや、俺が決めたわけじゃないから…でもパフェって言葉はフランス語で『完璧』って意味だぞ」
「そうなんすか!でも完璧と呼ばれるにふさわしい料理っすよね、うんうん」
「たしかに美味しいけど、完璧って名付けられるのがすごいって思っちゃうわ。フランス人の気質なのかな。コンソメもフランス語で『完成された』って意味らしいし」
「へー、ってことはコンソメパフェって最強の料理じゃないっすか!」
「名前は最強だな。絶対不味そうだけど」
「でも最近はコンビニスイーツでもほぼパフェみたいなのが売ってますよね。ほら、うちの新商品もそんな感じじゃないっすか?」
「たしかにな。でも実はこういうの食べたことないんだよ」
「えっ、甘いの苦手でしたっけ?」
「いや、そんなことはない。なんとなく買うのがためらわれてな」
「それならぜひ一回食べてみてくださいよ!最近のコンビニスイーツは美味しいっすよ!食べなきゃ損っすよ。ほら、ちょうど2つ残ってるんで、早速買ってください」
「待て、なんで2つ買わせるんだ。しれっと奢らせようとしてないか?」
「バレましたか。冗談っすよ。そうだ、いつもお世話になってるんで、今日はぼくが奢りますよ!」
「いやそれはいいよ。まあこのくらいだったら奢ってやるよ」
「あざーっす!計算通り、ちょろいっすね!」
「やっぱやめた。自分の分は自分で買え」
「はっ、しまった…詰めが甘かったっす…」