12月13日 大掃除の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。大掃除では水回りの掃除が好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。大掃除では窓拭きが好き。
ここはとある郊外のコンビニ。
「暇っすね…」
「暇だな…」
「日付変わって一通り商品の搬入も終わったこの時間が1番やることないっすよねー」
「客も来ないしな」
「よし!じゃあ雑談しましょう!雑談!」
「そんなに改まってやることじゃないと思うが…」
「まあまあいいじゃないっすか。高橋さんは今日何か予定がありますか?」
「今日は家の大掃除をする予定だ」
「えっ?大掃除?なんで今日に…はっ、まさか13日と31日を間違えてるんじゃ…」
「そんなわけないだろ。今日は大掃除の日って記念日なんだ」
「なんでまたこの日なんすか?大掃除っていったら大晦日のイメージっすけど」
「12月13日は昔から正月事始め、煤払いの日っていわれててこの日から正月の準備を始めるって習慣があるんだよ。それに由来して制定された記念日だ」
「なるほど、たしかに準備期間としては今くらいから始めるのがちょうどいいっすよね」
「それと旧暦の12月13日は江戸時代初期まで使われてた暦では二十七宿が必ず鬼になってるってのも理由らしい。鬼の日は婚礼以外は全て吉の日とされてるから正月の年神様を迎える準備を始めるのにいい日なんだ」
「二十七宿?」
「天球上での月の見かけの通り道である白道を27のエリアに等分割したもので、それぞれに名前がついてるんだ。暦にも応用されて、旧暦では日付が決まればこの二十七宿も自動的に決まるようになってて…」
「???」
「あー…とりあえず12月13日は縁起がいい日ってことだ」
「なんだ、始めからそう言ってくれればよかったのに!完全に理解しましたよ!」
「…まあいいや」
「あ、掃除といえば店長のおすすめコーナーにお掃除3点セットがありましたね」
「嫌な予感しかしないが…まあとりあえず中身を見てみるか」
「えーと、まず踏み台っすね」
「まあ大掃除のときは普段やらないような高いところも掃除するしな。これはあってもいいかも」
「それと脚立」
「…なんか用途が被ってるような…」
「そして梯子っす」
「根本的には全部同じものじゃねーか!そして掃除用具は何も入ってないし…」
「やっぱりおすすめコーナーのセット商品は地雷ばっかりっすね…でも高橋さんの家っていつ行っても片付いてません?」
「こまめに掃除はしてるからな。今日は普段やらないとこまでガッツリやる予定だ。…あー、あとさ、君の漫画なんだけど、ダンボールから出して本棚に並べてもいい?」
「えっ、さすがにそこまでしていただくわけには…」
「片付ける目処は立ちそうなのか?」
「うっ…それは…」
「ダンボールに入ったままなのがどうにも気になってな。もし田中くんがよければやりたいんだが」
「すみません、よろしくお願いします…あっ、もちろん手伝いに行きますので!夕方過ぎになっちゃいますけど…」
「いや、別にいいよ。そんなことより君の部屋の片付けは大丈夫なのか?」
「心配ご無用っす!最近はちゃんと足の踏み場はありますよ!」
「けもの道かよ…こっちはいいからまず自分の部屋を片付けろ」