12月9日 しそ焼酎「鍛高譚」の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。焼酎は麦派。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。焼酎はあんまり飲んだことがない。
武 高橋家に住み着く男性の幽霊。ラップ音は「バチン」。焼酎は芋派。
貴子 高橋家に住み着く女性の幽霊。ラップ音は「パチン」。焼酎は米派。
ここはとある郊外のマンションの一室。
「は〜、やっぱりコタツは最高っすね〜」
「コタツ出してから君がうちにくる頻度が激増したもんな」
「この居心地の良さのせいっすよ。コタツに入って漫画を読みながらミカンを食べる、こんなに幸せなことはないっす」
「漫画もミカンも君が持ち込んだものだけどな。突然箱でミカンが届いたときはびっくりしたわ」
「まあまあ、いいじゃないっすか。高橋さんも自由に食べていいっすから」
「それはありがたいけどな。さて、お茶でも淹れるかね」
「あ、ぼく梅昆布茶がいいっす!」
「梅昆布茶なんてうちにはないぞ…ってなんで棚に梅昆布茶が入ってるんだ…?」
「ふふふ、こんなこともあろうかとぼくが買っておいたんすよ!」
「やりたい放題かよ…まあいいけど」
「はい、おまちどおさま」
「ありがとうございます!ズズズ…」
パチン!
「貴子さん、おかわりですか?飲み方は一緒で?」
パチン♪
「それ、なんですか?」
「ああ、ボンタンアメのお酒だよ。今日店長のおすすめコーナーに珍しい酒が並んでたんだけど、その中にあったんだ」
「へー!あ、ほんとだ、ボンタンアメとおんなじパッケージっすね。美味しいんすか?」
「貴子さんはお気に入りみたいだな」
パチン♪
「ふむふむ。ひと口もらってもいいっすか?」
パチン!
「ありがとうございます!あっ、美味しい!懐かしい味がしますねー 高橋さんは飲まないんすか?」
「ああ。飲んでたら君を送っていけないだろ」
「歩いて帰るから大丈夫っすよ!ほらほら、ぼくの酒が飲めないっていうんすか⁉︎」
「いや、君の酒じゃないが…まあ歩いて送ったらいいか。どうせ飲むならこっちにしよう。武さん、どうでした、これ?」
バチン♪
「おっ、武さんがそう言うのは珍しいですね。お湯割りで飲んでみよう」
「それは…えーと、なんて読むんですか?」
「これか?これは鍛高譚っていうんだ」
「…ふっ、ぼくを騙そうなんて12年と4ヶ月早いっすよ!そんな読み方なわけないじゃないっすか!」
「なんで微妙に具体的なんだよ…ほんとなんだよ。鍛高ってのはアイヌ語でカレイ科の魚を表してて、その鍛高が貴重な赤じそを見つけるお話が名前の由来らしい」
「え〜、ほんとですかぁ〜?」
バチン!
「武さんがいうならほんとなんすね。てことは…しそに関するお酒なんすか?」
「ああ。しそ焼酎ってやつだ。(ズズズ)あっ、美味い。たしかにしその香りがするな」
「ぼくにもひと口ください!あー、たしかに美味しいっすね!こういう晩酌ってよくやってるんでしたっけ?」
「ときどきかな。今日はこの鍛高譚を見つけたのがきっかけだ」
「といいますと?」
「今日はしそ焼酎「鍛高譚」の日って記念日なんだよ。1992年のこの日に発売されたのにちなんでな。ちょっとテンション上がって、変わり種のお酒をいろいろ買い込んじゃったよ」
「めっちゃあるじゃないっすか!よーし!今日は夜通し飲みましょう!」
「ほどほどにしとけよ…」
2時間後
「う、うえぇ…きもちわるい…」
「…君は少しは加減を覚えろ…」