12月7日 クリスマスツリーの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。実家ではクリスマスツリーの準備担当だった。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。兄がクリスマスツリーの準備をしてるのを見ながら口だけ出す担当だった。
田中の母 尋常じゃなく料理がうまい。
ここはとある郊外のコンビニ。
「もういくつ寝るとクリスマスっすね!」
「それお正月の歌じゃなかったか?」
「まあまあ、クリスマスの方が先にくるのは間違いないじゃないっすか!高橋さんはクリスマスの予定って…あ、すみません、心ない質問でしたね」
「配慮してるようにみせてディスってくるのやめろ。まあ今年もバイトだけどさ」
「バイトってここのっすか?」
「それと母親の知り合いのケーキ屋で毎年バイトしてるんだよ。えーと、23日がここの夜勤で、24日の朝から晩までケーキ屋、24日の夜勤、25日の朝から晩までケーキ屋って感じだな」
「…それ寝る時間あります?」
「ほとんどないよ。でも去年はそれに加えて25日の夜勤もやったからな。寝不足と疲れで顔が真っ白だったらしくて、田所さんに『ホワイトクリスマスだな』って言われて笑った記憶がある」
「笑い事じゃないでしょ…24日の夜勤は断るべきだと思いますよ」
「いっても24日の夜に暇な人の方が珍しいだろ。田中くんも何か予定があるんじゃない?」
「まあクリスマスパーティーの予定っすけど…」
「そうだろ?25日が免除されただけでもありがたいよ。ところでクリスマスパーティーってどんなことをやるんだ?一回も行ったことないから想像がつかん」
「しれっと悲しいことカミングアウトしないでくださいよ…えっと、毎年ぼくんちでやるんすけど、料理やケーキを食べたり、プレゼント交換をしたりしますね」
「プレゼント交換か。それはクリスマスらしい気がするな」
「何にするかを選ぶ楽しみと当日何があたるかの楽しみがあって、ぼくは大好きっすね!ちなみに今年は店長のおすすめコーナーに可愛いネックレスがあったんで、それにしました!」
「ああ、あの店長お手製なやつか」
「あれも店長が作ったんすか⁉︎あの人ほんとになんでも作れますね…」
「でも楽しそうだな。料理は君のお母さんが作るの?」
「ケーキもそうっす。ぼくも手伝いますけど。毎年うちでやる理由の1つに、どの店の料理よりうちの母が作るものの方が美味しいってのがあります」
「それは納得だ。他にも理由があるのか?」
「実は毎年うちで割と大きなクリスマスツリーを飾るんすよ。2m越えくらいの」
「なるほど、それはクリスマスパーティー向けだな。ツリーといえば駅前に大きなの飾ってあるよな?」
「ええ、毎年恒例のやつっすね。周りのイルミネーションも綺麗っす」
「今日の夜にでも観に行くかな。今日はクリスマスツリーの日だし」
「クリスマスツリーの日?」
「ああ。1886年のこの日、横浜・明治屋に日本初のクリスマスツリーが飾られたそうだ」
「ふーん。…ツリーは誰と観に行くんすか?」
「1人でだよ。買い物のついでにな」
「なるほど。そこまでいうならぼくがついていってあげてもいいっすよ!」
「いや、何も言ってないが…」
「しょうがないっすね!クリスマスマーケットのホットチョコレート一杯で手を打ちましょう!」
「…まあいいか。一緒に観に行ってくれるなら嬉しいし。よろしく頼むよ」
「う…///しょ、しょうがないっすね!ホットチョコレートとクリスマスオーナメントで手を打ちましょう!」
「おい、なんか増えたぞ…」
「あとマトリョーシカ」
「まだ増えるんかい」