12月5日 バミューダトライアングルの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。プエルトリコに行ってみたい。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。正直バミューダトライアングルがどこにあるか知らない。
ここはとある郊外のコンビニ。
「必殺技が欲しいんすよ」
「…すまん、もう一回言ってもらってもいいか?」
「だから、必殺技が欲しいんです」
「聞き間違えじゃなかったか…それで…必殺技?」
「ええ。やっぱりなんだかんだこの技を出せば勝てる!ってのがあると安心じゃないっすか」
「このご時世で必殺技が必要になるってどんな状況だよ…」
「たとえば急に宇宙人からエアマックス狩りされるとか」
「どこからつっこめばいいのか…まあいいや。それでどんな必殺技がいいんだ?」
「そうっすね…手を上に挙げたら、見開きドーン!で相手が吹っ飛んでるようなのがいいっすね!」
「車田正美先生の漫画みたいな感じか…どうやったら身につくのか見当もつかんな…」
「うーん、ですよねぇ…とりあえず店長のおすすめコーナーにあった大リーグボール養成ギプスは買ってみようかと思ってるんすけど」
「何を売ってるんだあの人は…というかそれで身につくのは魔球だろ…」
「やっぱりそうっすかね…とりあえずどうやって身につけるかは置いておいて、今日は名前を考えようかと思ってるんすよ!」
「名前って…必殺技のか?そういうのって技ができてから名付けるもんじゃないの?」
「名は体を表すっていうじゃないっすか!名前を決めれば自ずとどんな技か決まるかもしれないっす!」
「まあいいけどさ。どんな感じのがいいとかあるの?」
「そうっすね、カッコよくて強そうで…カッコいいのがいいっすね!」
「語彙力の無さよ…なんか具体例をくれ」
「たとえば… 封神剣極限奥義‼︎‼︎‼︎ 秒殺閃空地獄極楽断‼︎‼︎‼︎とか」
「暑苦しいの持ってきたな…たしかにカッコいい技だけどさ」
「でも漢字もいいっすけど、やっぱり横文字の方がインテリっぽいっすかね?」
「インテリかどうかは知らんが、ドイツ語とかの響きはカッコいいよな。キルシュヴァッサーとか」
「めっちゃカッコいいじゃないっすか!それぼくの必殺技の名前にします!ちなみにどういう意味なんすか?」
「さくらんぼのお酒だよ。直訳するとさくらんぼ水」
「…やっぱやめます。なんかもっといい単語はないっすか?」
「と言われてもなぁ…うーん、バミューダトライアングルとか」
「それっす!あれですよね、魔の海域とかいわれてるやつっすよね?語感もいいし、意味もカッコいいし、ぼくの必殺技にピッタリっす!」
「そ、そうか。ま、まあ満足してもらえてなによりだ」
「いやー、さすが高橋さん!いい言葉を知ってますね!よし、ぼくの必殺技の名前が決まったことを記念して、今日をバミューダトライアングルの日にしましょう!」
「まあ実際今日はバミューダトライアングルの日だぞ」
「…えっ?ほんとにある記念日なんすか?」
「ああ。1945年のこの日にこの海域を飛行してた米軍機が突然消息を絶ったって事件が起こったらしい。それに由来してるそうだ」
「はー、そうなんすね。さすが魔の海域」
「まあバミューダトライアングルで起こったとされる海難事故の中には嘘だったり他のところで起きた事故だったりも混ざってるって話だけどな。まあでも魔の海域として知名度のある言葉だし、必殺技にピッタリの名前かもな」
「ですよね!…はっ!ぼくの必殺技の輪郭が見えた気がします!」
「おっ、どんな技なんだ?」
「まず3人に分身してですね…」
「前提条件で人間やめてんじゃねーか!」
(追記)
バミューダトライアングル 田中の必殺技(仮)
①3人に分身し、相手を取り囲む
②3方向からそれぞれ攻撃を繰り出す
正面 パンチ 右側面 キック 左側面 チェーンソーでぶった斬り
③分身を解き、アッパーで相手を跳ね上げる
④見開きドーン!技名ドーン!
相手は死ぬ